研究課題/領域番号 |
23660046
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
野澤 美江子 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (40279914)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 生殖看護 / 妊孕性 / がん生殖 / 配偶子凍結 / がん看護 |
研究概要 |
本研究は、がん医療と生殖医療が協働で取り組む、生殖組織/配偶子の凍結に対するがん患者の意思決定支援のあり方を探求することを目的としている。本年度は、生殖組織/配偶子の凍結に対するがん患者の意思決定の様相を明らかにするために、1.がん治療に伴う生殖組織/配偶子の凍結、がん患者の意思決定及びその支援に関する国内外の文献を検討し、インタビューガイドの作成に活用した。2.連携研究者、がん化学療法看護認定看護師、不妊症看護認定看護師と共に、患者への依頼方法の検討、調査を依頼するフィールドの調整を行った。3.がん患者の生殖組織/配偶子の凍結に関わった経験を持つ不妊症看護認定看護師2人を対象に、凍結を選択した患者及び凍結を選択しなかった患者の状況、意思決定のプロセスとそこでの関わり等について、ヒヤリングを実施した。4.配偶子を凍結し化学療法をこれから実施予定或いは終了した血液、生殖器がん患者で同意の得られた男性2人を対象に、凍結に関して医療者から受けた説明内容、説明を受けた時から配偶子凍結の意思決定までのプロセス等をインタビューした。これらの分析結果から意思決定の実態及び意思決定の促進及び妨害因子を明らかにする予定である。 また、がん治療施設及び不妊治療施設におけるがん患者の意思決定支援の様相を明らかにするために実施を予定している質問紙調査であるが、対象となる都道府県がん診療連携拠点病院、体外受精・胚移植登録施設に勤務する医師、及びがん看護専門看護師、がん化学療法看護/放射線療法看護/乳がん看護認定看護師、不妊症看護認定看護師の依頼先リストの作成・調査用紙の作成を始めたところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
がん患者の生殖組織/配偶子の凍結に関わった経験を持つ認定看護師及び専門看護師、配偶子を凍結した患者様のリクルートに予想以上に時間を要した。前者は、看護者が所属する施設管理者の協力が得られずヒヤリングが実施できないケースや、協力できる時期の指定があったためである。後者は、事前に倫理的配慮について十分検討し倫理委員会での承認を受けた上での実施であったが、施設側が患者様に与える倫理的な影響を懸念したり、職務上の問題を考え研究協力の得られない施設が多く、配偶子を凍結した患者様のリクルートが困難であったためである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続いてがん患者の生殖組織/配偶子の凍結にかかわった経験を持つ専門看護師及び認定看護師へのヒヤリング及び生殖組織/配偶子を凍結した患者様へのインタビューを継続する。それと共に、医師及び看護師を対象とした質問紙調査を行い、がん患者の意思決定及びその支援の様相を明らかにする。前者の実施に当たっては、対象者のリクルートがスムーズに遂行できるように、スノーボールサンプリングに加え、連携研究者及び研究協力者とともにさらなる対策を検討する。後者については、回収率を上げる配布方法も合わせて、リクルートがスムーズに遂行できるように連携研究者及び研究協力者と検討を重ねる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は看護師へのヒヤリング及びがん患者へのインタビューが滞ってしまったため、その結果を受けての質問紙調査の実施までできず、それに関連した経費が執行できなかった。そこで、次年度は繰り越して行う質問紙調査に加え、当初予定していた計画(ヒヤリング、インタビュー調査)を実施する。そのために、下記のように研究費を執行する予定である。旅費:研究打ち合わせのための国内旅費、ヒヤリング・インタビュー調査のための国内旅費、学会発表のための国内旅費謝金:資料整理・データ入力等を依頼する研究補助者への謝金その他:会議費、インタビューのテープ起こし代(業者委託)、質問紙調査のための郵送料
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