研究課題/領域番号 |
23660047
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
李 昌一 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (60220795)
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研究分担者 |
小野塚 実 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (90084780)
小松 知子 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (20234875)
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キーワード | 摂食嚥下体操 / fMRI / 光トポグラフィ / 筋電図 / 唾液 / ESR / 抗酸化能 |
研究概要 |
23年度おいては健常者ボランティアによる食形態の違いによる嚥下関連筋の筋活動の評価を行い、次いで嚥下体操の効果を非侵襲計測である表面筋電図計測により嚥下関連筋の活動電位を定量的に測定することを可能にする研究成果が得られた。従って、24年度はさらに実験を進め、測定した生波形を全波整流し、5Hzのローパスフィルターで平滑化処理を行い、整流平滑化筋電図(rfEMG)を求めた。すべての被験者で、嚥下体操前後の水分嚥下時の飲み込みやすさについて聞き取り調査したところ、1名を除き、円滑さに変化は感じなかった。一方で,嚥下体操前後の水分嚥下時のrfEMG で得られた信号の最大振幅を比較したところ、13名中8名で、嚥下体操後の水分嚥下時のrfEMG の信号が低下した。その信号の最大振幅の低下は舌骨下筋群で最も著明で,平均%rfEMG 値で31.4%減少した。この評価から、嚥下体操を行うことは、その後の水分嚥下時の嚥下関連筋の筋活動を円滑にし、嚥下を容易にすることが示唆され、筋活動の円滑化がむせや誤嚥の予防につながると考えられた。若年健常者において嚥下体操の効果がみられたことより、摂食・嚥下障害の機能回復のみならず、予防の観点からも高く評価できると考えられた。これと平行して、高齢者ボランティアに実際に簡易神経認知検査、ならびに先端医療機器(fMRI、光トポグラフィー)による高次脳検査と唾液による抗酸化能評価を実施する前に、健常者ボランティアによるこれらの検査の評価も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初から高齢者ボランティアに当初神経認知検査を行う予定であったが、23年度の摂食嚥下障害のメカニズム解明のための健常者ボランティアによる食形態の違いによる嚥下関連筋の筋活動の評価研究の研究成果が出たため、24年度は嚥下体操の効果を非侵襲計測である表面筋電図計測により嚥下関連筋の活動電位を定量的に測定する評価技術を健常人で確立した。これらの評価法の確立と健常者のデータの蓄積は最終的に行う高齢者ボランティア、脳血管障害患者の摂食嚥下体操による効果と比較する際にはメカニズム解明を含め重要となると考えたためである。
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今後の研究の推進方策 |
23、24年度の結果から、表面筋電図計測による摂食嚥下機能の評価が可能になった。したがって、最終年度に高齢者ボランティア、脳血管障害患者の摂食嚥下体操による神経認知検査と表面筋電図計測を合わせて行う予定であり、また、重ねて、生体に及ぼす影響を唾液成分中の活性酸素消去能(抗酸化能)についても電子スピン共鳴(ESR)法を用いて測定する予定である。最終的にはこれらを集約して、高齢者ボランティア、脳血管障害患者の先端医療機器 (fMRI, 光トポグラフィー)による高次脳検査を実施することで研究総括する。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度までに表面筋電図計測による摂食嚥下機能の評価が可能になったので、最終年度に高齢者ボランティア、脳血管障害患者の摂食嚥下体操による神経認知検査と表面筋電図計測に加えて、電子スピン共鳴(ESR)法を用いた唾液の抗酸化能測定、先端医療機器 (fMRI, 光トポグラフィー)による高次脳検査を実施する行う予定となるので、これまで繰り越した人件費、謝金の支出が多くなる予定である。
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