研究課題/領域番号 |
23660058
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
春名 めぐみ 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00332601)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 分娩恐怖感 / 尺度開発 / 国際情報交流 / ノルウェイ:スウェーデン |
研究概要 |
分娩恐怖感を測定するWijma Delivery Expectancy/ Experience Questionnaire (W-DEQ) version A (産前用)とVersion B(産後用)の日本語版(原版はスウェーデン語)を作成し、妥当性と信頼性の検証を行った。順翻訳、逆翻訳、予備調査を経て、日本語版を作成した。都内Aクリニックで240名を対象に質問紙調査を行い、有効回答数は妊娠37週時点で231名(Version A)、産後2日目で232名(Version B)であった。分析の結果、Version AとBは原版と同様の4因子構造を示した。併存的・収束的妥当性について、Version A と出産への不安に関するPrenatal Self Evaluation Questionnaire日本語版下位尺度とは高い正の相関(r = 0.77)を示し、一般的不安に関するHospital Anxiety and depression Scale(HADS)下位尺度「不安」とは低い正の相関(r=0.51)を示し、出産の自己効力感を測定するChildbirth Self efficacy Scaleとは高い負の相関(r= - 0.81)を示した。Version B とHADS下位尺度「不安」とは低い正の相関(r=0.38)を示した。内的整合性についてVersion AとB共にCronbach’s αは0.7以上であった。これらの結果から、W-DEQ version A とB日本語版の妥当性、信頼性が検証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本でほとんど行われていない分娩恐怖感の研究について、海外文献をもとに検討し、選定した分娩恐怖感尺度Wijma Delivery Expectancy/ Experience Questionnaire (W-DEQ) version A (産前用)とVersion B(産後用)の日本語版の開発・検証を行うことができた。しかし、サンプル数が交差妥当性の検証を行うには不十分であること、本研究の調査は1施設のみの調査であったことから、今後さらに幅広い対象でより多くのサンプルでの調査が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
今後サンプル数を増やして調査を行い、確認的因子分析を行っていく予定であるが、日本語版での最適な質問項目と原版、もしくは海外で使用されているW-DEQの質問項目とに齟齬が生じてくる可能性がある。国際比較が可能で、かつ信頼性・妥当性の高い尺度としていくためには、新たな質問項目の追加の必要性などについて、海外研究者と情報・意見交換をする必要がある。また分娩恐怖感に対する関連要因についても明らかでないため、妊娠期、産後の分娩恐怖感と心理社会的要因や分娩時アウトカムとの関連について調査を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
サンプル数を増やすために、フィールド調査を行う予定であり、そのための費用が発生する。データ分析、論文執筆・投稿に費用がかかる。さらに国際比較が可能な尺度としていくために、分娩恐怖感について研究を行っている海外研究者(ノルウェイ・スウェーデン)とディスカッションする必要があり、渡航を予定している。
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