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2011 年度 実施状況報告書

「つわり」は葉酸添加ガムで治せるか?-新たな代替療法の検証-

研究課題

研究課題/領域番号 23660062
研究機関京都大学

研究代表者

菅沼 信彦  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30179113)

研究分担者 渡邊 浩子  滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20315857)
山口 琴美  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40432314)
能町 しのぶ  滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40570487)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード助産学 / 葉酸 / つわり
研究概要

我々は、妊婦を対象に胎児の神経管細胞の分化・増殖に大きく関与する葉酸に着目し、多くの介入研究を重ねてきた。その結果、妊婦の葉酸摂取量は推奨量(440μg)を大きく下回り、加えて葉酸の生体利用効率も低いことから、葉酸含有サプリメントを補充しない限り推奨量を満たすことは困難であることを明らかにしてきた。妊娠初期はつわりの時期と重なることにより、通常のサプリメント摂取は困難であり、有効な補充法を確立する必要がある。 また、つわりは妊婦の約8割に出現し、軽症でも電解質のバランスの悪化、精神症状の悪化、代謝異常を惹起させ、QOLを低下させる。従来より、つわり症状は妊娠中期に自然に改善するマイナートラブルと考えられ、積極的な治療は行われてきていない。そのため、国内外においても、根本的な治療法は解明されておらず、エビデンスが示されていない対症療法に依存している。 そこで、つわりに対する効果も報告されているチューインガムに葉酸を添加し、摂取が容易となるように工夫した。先行研究において、種々の構成のチューインガムを作製し、その効果を検討したところ、葉酸の補充が可能であったとともに、葉酸添加ガムは非添加ガムに比してつわり症状改善効果もみられることが明らかとなった。 これらの成果を各種学術集会・論文にて発表し、さらに葉酸のつわり症状軽減効果を明らかにする目的で本研究を企画し、本年度はその準備を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本年度は、先行研究におけるデータを第52回日本母性衛生学会学術集会(2011年9月29-30日、京都)のシンポジウム3"周産期におけるマイナートラブルとその対処法"において「つわり症状に対する葉酸補充の効果」(演者:林文子)において発表し、原著論文「葉酸添加チューインガムによる葉酸補充とつわり症状改善効果」(林文子、渡邊浩子、原田結為子、廣渡有美子、廣渡恒治、武村明子、大沢政巳、亀田知美、菅沼信彦:産婦人科の実際60:269-274,2011)、総説「葉酸添加チューインガムのつわり症状改善効果の検証」(林文子、春名めぐみ、渡邊浩子、菅沼信彦:母性衛生53:35-40,2012)を発表した。 そこで本研究を開始する予定であったが、チューインガム生産ラインが一時的に中断したため、研究に供するガムサンプルの供給が不可能となった。そのため、研究プロトコールの再検討、検査項目の追加などの協議を共同研究者間にて行い、より高い研究成果を得られるための準備を行った。 自己評価としては次年度に向けて有意義な準備が整ったものと考えられる。

今後の研究の推進方策

次年度は、葉酸添加チューインガムの供給を受け、本年度ならびに次年度に予定した研究計画を実施する。内容は1)精神健康度得点、つわり尺度得点をパラメーターとして妊婦のQOLを評価する。つわり尺度は新たな検討を加えた結果、国際標準に準ずる評価表を用いる。2)つわり得点および血清ならびに血中葉酸濃度、血清ホモシステイン濃度をパラメーターとして、ガムの咀嚼効果と葉酸添加効果を明らかにする。3)新たな代替療法として、葉酸添加ガムのつわり症状の改善に対する有用性を評価する。 具体的な方法としては、無作為比較試験とし、つわり症状を有する女性に協力を依頼し、同意の得られた200名を対象とする。つわり出現日以降4週間を調査期間とする。葉酸添加ガム群(100例)は、葉酸が7粒で400μg溶出するように設定されているガムを、7-14粒/日で摂取し、葉酸非添加群(100例)では、上記の葉酸添加ガムの葉酸を除く他のすべての成分を同一とする。 精神健康尺度は「うつ病自己評価尺度(CES-D)」を、栄養調査は「自記式食事歴法質問票(BDHQ)」を用いて評価する。つわり症状アンケート用紙では、1日に摂取したガムの個数ならびにつわり症状の程度を記録する。

次年度の研究費の使用計画

物品費としては採血用物品、うつ病自己評価尺度(CES-D)測定用紙、自記式食事歴法質問票(BDHQ)用紙、事務文具費、論文別刷代として360,000円の使用を計上している。旅費としては研究打ち合わせ旅費、研究成果発表旅費・宿泊費に600,000円、人件費・謝金としては研究補助、データ入力補助・整理、対象者謝礼に560,000円、その他として血液検査解析費用、会議費、印刷費、通信費、学会参加費などに1,100,000円を使用予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 葉酸添加チューインガムのつわり症状改善効果の検証2012

    • 著者名/発表者名
      林文子、春名めぐみ、渡邊浩子、菅沼信彦
    • 雑誌名

      母性衛生

      巻: 53 ページ: 35-40

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 葉酸添加チューインガムによる葉酸補充とつわり症状改善効果2011

    • 著者名/発表者名
      林文子、渡邊浩子、原田結為子、廣渡有美子、廣渡恒治、武村明子、大沢政巳、亀田知美、菅沼信彦
    • 雑誌名

      産婦人科の実際

      巻: 60 ページ: 269-274

    • 査読あり
  • [学会発表] つわり症状に対する葉酸補充の効果2011

    • 著者名/発表者名
      林文子
    • 学会等名
      第52回日本母性衛生学会学術集会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2011年9月30日

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公開日: 2013-07-10  

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