研究課題/領域番号 |
23660065
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
田中 満由美 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90285445)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 看護学 / 胎児異常 / 対児感情 |
研究概要 |
妊娠中に胎児異常を告知された妊婦を対象に、告知後から産後1か月までの妊婦(母親)の情動変化と対児感情の関連や特徴について検討することを目的に、1事例各4回(告知後1か月以内、妊娠36週前後、産後3~7日目、産後1か月)縦断的に、面接及びアンケート調査を実施する。面接による質的データによって妊婦の情動の変化を明らかにするとともに、対児感情評定尺度を用いたアンケート調査による量的データをとる。本年度は三年計画の初年度である。現在、産科医療施設(2施設)において症例5例の面接とアンケートが終了し、その都度分析を行った。平成24年度も引き続きデータ収集を行う予定である。 超音波断層法や羊水検査等の出生前診断の発達に伴い、妊娠期に胎児異常が発見される事例が増加している。ドローターらの「先天異常児を出産した母親の反応モデル」は出生後に先天異常が発覚した際の母親の反応を示したものである。妊娠中に胎児異常が発覚した妊婦の反応や、情動の変化等を示した研究はほとんどなく、そのために胎児異常を告知された妊婦の支援に困難さを感じている医療従事者は少なくない。また、ドローターのモデルは母親の心理反応は示しても、心理的危機状況にある母親の児への愛情も示していない。妊娠期に胎児異常が発覚した妊婦の児への愛着に関しても明らかにしているものは見あたらない。超音波診断法で妊娠早期から胎児異常が明らかな事例については、出産後の母親の反応もドローターのモデルと異なることが推察できるが、それについても明らかにしたものは見あたらない。本研究により、胎児異常を告知された妊婦の告知後から産後1か月までの情動や対児感情が明らかになることで、胎児異常を告知された妊婦や出産後の母親への支援が見いだせる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象が妊娠中に胎児異常を告知された妊婦のため、胎児異常の症例がコンスタントにあるわけではなく、胎児異常を告知された妊婦のうち、研究の同意を得られなかった症例もあり、現在5例の面接とアンケートが終了した段階である。当初の計画よりやや遅れているが、症例も波があるので、引き続き地道にデータ収集を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
妊娠中に胎児異常の告知後から産後1か月までの妊婦(母親)の情動変化と対児感情の関連や特徴について検討することを目的に1事例各4回(告知後1か月以内、妊娠36週前後、産後3~7日、産後1か月)に縦断的に、面接及びアンケート調査を実施する。当該年度に引き続き平成24年度も対象の症例数を増やしていく予定である。平成24年度は当該年度より対象の症例数が増え、分析が本格的になる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は研究対象の事例が少なく、協力施設へ出向く回数が予定を下回ったため、旅費について未使用額が生じた。平成24年度については、研究事例が増えれば協力施設へ出向く回数が多くなるので、当該研究費と合わせて旅費として多くが使用される予定である。また、平成24年度は分析が本格的になるため、補助員を一名短時間雇用する予定である。
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