研究課題/領域番号 |
23660070
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
長岡 由紀子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80315762)
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キーワード | 不妊治療 / 妊娠 |
研究概要 |
本研究の目的は、不妊治療後の妊婦が安心してより健康的な妊娠期を過ごすための看護ケアプログラムの開発である。 24年度前半は、プログラム開発の第2段階として前年度末に収集した不妊治療に携わる看護職及び不妊治療後の妊娠経験者からのインタビューデータの分析を実施した。看護職の分析結果からは、不妊治療後妊婦の背景は様々(晩産婦、多胎、合併症、治療の違い)であるため、より健康的な妊娠期に向けての看護ケアの様相も多様であることが明らかになった。また妊婦の安心感を支えるためには、不妊治療後妊娠であるが故に生じる不安軽減を目的とした「情報提供」や、些細な質問にも繰り返し対応する姿勢など、個々の妊婦に寄り添うケアを大切にしていることが明らかになった。妊娠経験者が捉える健康的な妊娠期とは、自然妊娠と同じような妊娠生活が送れることで、安心とは「必要な情報が手に入ること」であった。次に、自然妊娠の妊婦へのケアと比較するために(治療後妊婦に限らず)多数の妊婦とかかわる臨床助産師を対象にグループインタビューを行った。その結果、助産師は治療後妊婦を特別なニーズを有する対象者と捉え、望ましい看護ケアを模索しながら関わっている現状が明らかになった。 以上の結果から、本研究では不妊治療後妊婦への看護ケアプログラムには、適切な情報提供を含めることが望ましいと考え、情報提供支援ツールを作成することとした。そこで24年度後半は「不妊治療後妊婦に提供する情報」のコンテンツや媒体、ツールの活用方法などを検討するために、国内外の学術集会や研修会に参加し、不妊治療に携わる国内外の医師・看護職・心理職と意見交換や情報交換を行い、方向性に関しては概ね良好な評価を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の研究目的であったプログラム試案の方向性が明確になったことからおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、前年度までの文献検討及びインタビュー結果から導き出された看護ケアプログラムの一方法として「不妊治療後妊婦への情報提供ツール」を作成し評価する。 4月~12月:①前年度に引き続き、「不妊治療後妊婦への情報提供」に含めるコンテンツや媒体、活用方法などを検討する。そこで、前年度までの分析結果や得られた情報を再度整理、分析すると同時に、施設における不妊治療後妊婦へのケアや情報提供の実態などの情報収集・情報交換を行う。②コンテンツを明確にした後、具体的な内容(情報)を検討する。内容(情報)に関しては、Evidence basedのものが望ましいため、医師、看護職、胚培養士等、多職種からのコンサルテーションを受ける。③情報提供ツールの評価方法(時期、方法、対象者)を検討する。 翌1月以降:「不妊治療後妊婦への情報提供ツール」の評価を行う。上記③の結果により多数の研究協力者を要する場合には、倫理委員会への申請、フィールドの確保、リクルートや手順の検討などのプロセスが必要となるため、研究期間内には実施可能なところまで行う。 年間を通じて以下のことを行う。①班会議を開催し、研究内容、方法、方向性、研究費運用の適切性を確認する。②適宜、専門家のコンサルテーションを受ける。③前年度までの成果報告として、学会発表やそのための準備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
【物品費】高額備品の購入予定なし。 【旅費】本研究の成果発表、国内外の情報収集・交換のための関連学会・研修会への参加に伴う旅費、データ収集に伴う旅費、連携研究者との会議開催に伴う費用として使用する。 【謝金】データ収集やコンサルテーション謝礼(専門家)、データ入力・整理における謝金として使用する。 【その他】消耗品の購入、学会及び研修会への参加費、通信費として使用する。
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