研究課題/領域番号 |
23660074
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
米田 昌代 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (80326082)
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研究分担者 |
吉田 和枝 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (50353032)
曽山 小織 (高野 小織) 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (10405061)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 周産期 / グリーフケア / 死産 / 新生児死亡 / 連携システム |
研究概要 |
本研究の目的は1.産科・NICU施設から地域へのグリーフケアの連携の現状・課題を明らかにし、グリーフケアの連携システムを開発する。2.地域の保健師の周産期のグリーフケアに対するニードを把握し、保健師等地域で関わる職種に対する周産期の死のグリーフケアに関する教育プログラムを開発することであった。 研究内容を吟味したことによって、目的1と目的2を平行するのではなく、まず目的1に焦点をしぼって実施する計画に変更した。目的1は当初施設・行政間の連携にしぼって考えてていたが、もっと、地域を広い視野でとらえ、あらゆる連携について考えることにしたため、目的2の保健師の教育プログラムの考え方もシステムによって変わってくると考えたからである。よって、グリーフケア教育の情報収集は続けながらも、連携についての研究を主体に進めたいと考えている。 23年度の予定では、全国の保健所・保健センターのグリーフケアの連携の現状・実際の活動の実態調査を予定していたが、全国の保健センターの所在地を調べるのに時間と費用を費やしたため、現在全国調査は一旦中止しており、県内の実態を事前調査として聞き取り調査中である。その結果としては、(1)グリーフケアに関して病院から施設に連携するといった意識が低く、一部の施設との連携に留まっている。(2)児の死亡に関する情報が得にくく、情報を知らずに新生児訪問の連絡をする危険性がある。(3)グリーフケアに対する知識・経験が少なく、初対面での関わりということもあり戸惑いが大きい。等が挙げられた。今後、これらの情報を参考にして、全国調査の方法についても検討していきたいと考えている。 グリーフケア教育に対する情報収集は日本グリーフケア協会によりグリーフケアアドバイザー養成講座や助産師のための遺伝カウンセリングのセミナーに参加したり、文献・インターネットによって行っており、蓄積中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の概要にも記したように、研究の方向性を吟味し、研究目的を拡大したこと、計画していた保健所・保健センターに対する全国調査を実施するにあたり、保健センターの所在地を調べることから開始したが、平成15年以降まとまった一覧表等が存在しない上に、市町村合併等の要因が重なり、予想外に時間と労力、費用がかかることが判明し、中断したことが大きな原因である。全国調査の方法を吟味する前にまず県内の状況を把握することから始めることに切り替えている。 また、研究を深めるために文献検討を行い、まず周産期のグリーフケアの概念分析を平行して行っていること、周産期のグリーフケアに関する講演・啓発活動に時間が費やされたことにも要因があると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的を周産期の死を経験した母親・家族を社会全体で支える新しい連携システムの提案とし、研究のゴールとしては施設・行政間の従来の連携システムの中でだけ考えるのではなく、現状のシステムを一から考え直し、新たなシステムを提案したいと考えている。 その理由として、退院後、家族だけで悲嘆過程をたどれる人もいれば自助グループに助けられる人、医療施設のスタッフの継続的関わりによって支えられる人、地域の保健師に助けられる人、相談機関に助けられる人、精神科や心療内科医師、臨床心理士等心理的専門家に助けられる人、それらを複数介してさまよう人等対象によって支えとなる人は異なる。このことからも、多職種、自助グループが連携してその対象にあったグリーフケアを提供できるように、また、対象自らが選択できるような施設から地域へのシステム作りが必要なのではないかと考えるからである。施設から地域に必ずつなぐという考え方ではなく、対象によっては施設から出向いて継続して関わりがもてるような可能性についても模索していきたいと考えている。 具体的には施設から地域へのグリーフケアの連携に関する全国的な実態を明らかにし、各種専門職、体験者の意見をもとに新たなシステムの提案していきたいと考えている。 今年度はまず、昨年同様施設から地域へのグリーフケアの実態を明らかにするために全国調査を実施する予定であるが、その前に県内の状況を詳細に実施してから全国調査に踏み切りたいと考えている。具体的計画としては研究者自身が運営するペリネイタル・グリーフケア検討会参加者に対して協力をよびかけ、現状把握と新たなシステムに対する意見をフォーカスグループインタビューにてデータ収集していきたいと考えている。 グリーフケア教育に対する情報収集も引き続き実施し、連携によってグリーフケアに関わる人々に対する教育に今後活かしていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は上記に記した計画に基づいて、フォーカスグループインタビューに伴う参加者への謝金、録音データの逐語録作成費用、全国調査に伴い質問紙作成に伴う文房具、対象施設調べ、質問紙配布作業に伴う費用、データ入力・整理に伴う費用が挙げられる。 グリーフケア教育に関する情報収集として今年度は聖路加看護大学のペリネイタル・ロス看護者研修プログラムに参加したいと考えており、そのための参加費・旅費と、関連学会、グリーフケア関連研修への参加費・旅費に充てたいと考えている。学会では研究の進捗状態によって、結果が発表できればしていきたいと考えている。
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