研究課題/領域番号 |
23660074
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
米田 昌代 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (80326082)
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研究分担者 |
吉田 和枝 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (50353032)
曽山 小織(高野小織) 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (10405061)
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キーワード | 周産期 / グリーフケア / 死産 / 新生児死亡 / 連携システム |
研究概要 |
今年度の研究目的は周産期の死を経験した母親・家族を多職種・自助グループが連携して社会全体で支える新しいシステムを開発するために、全国・地域周産期母子医療センター(産科・NICU施設)、全国保健所、政令市・特例市・中核市・特別区保健センターでの施設退院後のグリーフケアの現状、自助グループの活動の実態、医療者(医療施設)・行政・自助グループの連携の現状と課題を明らかにすることとした。 研究方法は医療施設はグリーフケアに中心的に関わっているスタッフ、行政に対しては母子保健担当者に無記名自記式質問紙調査、自助グループに対しては代表者に質問紙回答時同意書も記載してもらった。本研究は金沢大学医薬保健研究域保健学系専門委員会に承認を得て実施した。 結果、産科135か所(回収率43.0%)、NICU 117か所(回収率37.3%)より回答を得られた。施設での退院後の支援として多いものは産科では面談が約50%、NICU では手紙が約30%を占めた。退院後の連携先としては保健師が最も多く、産科約70%、NICU約50%であり、自助グループはちらしでの紹介程度であった。保健所393か所に配布し、186施設より回答を得られた(回収率47.3%)。グリーフケアに関わったことがある施設は37施設(19.9%)であり、その内関わる体制が整っていると回答した施設は19施設(10.2%)であった。政令市・特例市・中核市・特別区保健センター473ヶ所に配布したが、64施設しか回答が得られず(回収率13.5%)、回答した施設であっても、体制は十分ではなかった。自助グループは26ヶ所に依頼し、現在13ヶ所より回答が得られているがまだ回収中である。マンパワー、後継者不足、資金不足が課題であり、連携も個人のつながりでされている場合が多く、組織としてされているグループは少なかった。今後、詳細分析予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全国調査は終了しているが、データの詳細な分析が完了していない。全国市町村すべての所在地を把握し、調査依頼することは数も多く、既存の名簿もなく、市町村合併等により前年度把握が難しいことがわかり、今年度は政令市・中核市・特例市・特別区のみにしぼったが、やはり宛先調べに時間がかかった。時間がかかった割には行政の組織の特徴上データの回収率が悪く、効率のよいデータ収集ではなかったことも響いている。 昨年の内に県内の周産期のグリーフケアに関連する医療機関、行政、自助グループの方を集め、フォーカス・グループインタビューにて今後の連携に対する新たな意見を集約しようと考えていたが、上記の理由で分析結果の詳細がでていないため、実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は早急に自助グループのデータ収集を終えるとともに、医療施設・保健所・保健センターの全国調査のデータの詳細の分析を実施、施設退院後の支援、多職種・多機関・自助グループの連携上の課題を明らかにし、新たな施設退院後のケアと連携に関する提案を打ち出していく予定である。その提案をたたきにして、フォーカスグループインタビューもしくは関係する対象に個人インタビューにて意見をいただき、石川県の現状に即した新たな連携システム案を形にしていき、3年間の研究の一段落をつけたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度の調査結果を今年度は学会で発表するための旅費、学会参加費、グリーフケア関連の研修旅費、参加費、グリーフケアの連携システムを開発するために他国の情報を得るための情報収集料、文献複写費、図書費、連携システムに対する意見をいただくインタビューに使用する謝金、インタビューデータの逐語録作成費用、新たな連携システム案の文書作成費に使用したいと考えている。
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