研究課題/領域番号 |
23660074
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
米田 昌代 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (80326082)
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研究分担者 |
吉田 和枝 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (50353032)
曽山 小織 (高野 小織) 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (10405061)
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キーワード | 周産期 / グリーフケア / 死産 / 新生児死亡 / 連携システム |
研究概要 |
周産期の死を経験した母親・家族を社会全体で連携して支える新しいシステムを開発するために、平成25年度は平成24年度に実施した退院後のグリーフケアと課題に関する実態調査結果をより深く分析し、次の段階の連携モデル案作成につなげることを目的とした。 全国・地域周産期母子医療センター(産科・NICU)では、入院中のグリーフケアは実施割合は高いが退院後のグリーフケアは全体的に実施割合が低かった。課題としては【連携先の情報不足】【知識・認識のずれ】【自助グループ不足】【連携先との情報の共有・管理方法】【マンパワー不足】【システムの不備】が挙げられていた。 保健所・市区町村では、グリーフケアに関わったことある機関は約2割程度であり、関わっていない施設の7割が「依頼がないから」といった回答であった。医療施設では産科7割、NICU5割が保健師と連携しているという回答であったが、保健所・市区町村は医療施設との連携は1割程度しか回答されていず、地域格差があると考えられた。課題としては【グリーフケアの意識・習慣のなさ】【死産・新生児死亡把握方法の不十分さ】【グリーフケアに関する学習機会不足】【マンパワー不足】【連携先の情報不足・関係不足】が挙げられていた。 自助グループでは、会にアクセスするきっかけは自分でという回答が一番多く、医療者や行政からの紹介は少なかった。活動上の課題としては【マンパワー不足】【資金不足】【代表に対する負担の大きさ】であった。連携に関する課題としてはちらし配布程度の関係性しかなく、組織としてのつながりが確立しているところは少なかった。連携できているグループにおいては情報の共有と個人情報保護の視点の難しさが挙げられていた。 自助グループの結果は昨年7月に日本ヒューマンケア心理学会に発表し、医療施設、保健所・市区町村の結果は今年度6月ICMで発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は今回提示した結果をもとに連携システム案を作成し、そのモデルに対する意見を集約するために、県内の周産期のグリーフケアに関連する医療機関、行政、自助グループの代表者を集め、フォーカスグループインタビューを実施する予定であった。しかし、データ分析に時間を要したこと、関係者の周産期のグリーフケアに対する認識の相違がみられたこと、関係者のインタビュー日程をあわせることが困難であったことより、フォーカスグループインタビューを中止し、質問紙法、個人面接法に方法を変更することとした。このことによって、現在も調査のための連携モデル作成、質問紙作りに時間を要しており、調査を実施できていない現状である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は延期したことによって最終年度となる。これまでの成果を学会で発表するとともに、連携システム案に対する関係者の意見を集約するために、質問紙調査、個人面接を実施し、石川県における連携モデル案を完成していく予定である。 モデル案完成後、そのシステムが実現可能性があるのか、次の段階の研究へと継続して進めていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
連携モデル案に対する意見を集約するためにフォーカスグループインタビューを予定していたが、関係者のインタビュー日程をあわせることが困難であったため、手法を変えることとした(質問紙法、個別面接法)。このことによって、調査のための連携案・質問紙作りに時間を要してしまい、調査がまだ実施できていないことと、これまでの成果報告も一部未実施である。よって、これらにかかる費用が未使用である。 調査のための資金(質問紙用紙、印刷費、郵送料、交通費、謝金、データ入力・整理のための人件費、面接データ逐語録作成のための業者委託費)と成果報告のための学会ポスター作成費用(翻訳料、印刷布代)、学会参加費、海外(プラハ)旅費、現地での通訳費用である。
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