研究課題/領域番号 |
23660075
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
月僧 厚子 福井県立大学, 看護福祉学部, 講師 (00170720)
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キーワード | 立ち会い出産 / 記憶 / 立ち会わせた母親 / 立ち会った上の子ども |
研究概要 |
(1)面接法を中心とするフィールド調査をH23年度に引き続き実施した。 H23年度に面接調査を開始した3組の母親と子どもに当該年度中に2組の母親と子どもを加えて面接調査を実施した。5組の母と子のデータ分析を実施した結果、母親の年齢は平均44.8歳であった。子どもの年齢は15歳~19歳で平均17歳であった。面接場所は対象者からの希望に応じて対象者の自宅等の一室を使用した。面接及び分析はSpradley(1979)による民族学的インタビューを参考に行った。 面接調査の結果、母親から出産前後の記憶が断片的に表現され、内容は過去の面接時における表出内容と一致していた。その後、次子の出産を体験した2人の母親は再び上の子を含む家族立ち会い出産を選択していた。立ち会った子どもの記憶については、当初2歳であった子どもは自身の記憶か人伝に聞いた話の記憶かが曖昧であった。当初4歳以上の子どもの場合、断片的に表現された内容は母親の表現と一致していた。また、H23年度~H24年度に研究対象となった母親5名中全員が子どもを出産に参加させたことを肯定的に評価し、参加した子ども全員が出産場面に立ち会えて良かったと評価していた。得られた研究成果から、立ち会った子どもが青年期に達した時点における、立ち会わせた母親と立ち会った子ども双方の出産の記憶とそれに伴う感情、思いについてその概要が明らかになった。 (2)13年前に実施した、就学前の上の子どもを出産に参加させた母親の体験に関する妊娠末期から産後1ヵ月までの面接調査内容を新たに分析し直し、妊娠末期から産後1ヵ月までの母親の体験の構造を明らかにした。 上記(1)(2)を実施し、母親と子どもの立ち会い出産の記憶を後方視的に調査する研究過程において、母親とその子どもの「その後の生活」及び「その後の家族関係」に関する体験を明らかにするという新たな研究課題を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、第2子以降の出産に際して、上の子どもを出産場面に参加させた母親の体験と、母親の出産場面に立ち会った子どもへの影響を明らかにすることを目的とした縦断的継続研究の一部である。今回申請する研究期間内の目的としては、出産への立ち会いから13年が経過し、立ち会った子どもが青年期に達した時点における、上の子どもを出産場面に参加させた母親の体験と出産に立ち会った子どもへの影響について、質的記述的研究により明らかにすることである。上記の研究目的達成に向けて、当初作成した研究計画書に従い研究を実施している。 ただし、当該年度までに面接が可能となった家族は5家族であり、当初の予定よりやや進行が遅れている。その理由としては、研究開始が当該年度の7月とやや遅れたこと、及び研究対象である子ども達が15歳から19歳となり、中学、高校、大学での勉学、クラブ活動、受験勉強等が生活の重要な位置を占める時期にあるため、面接時期の調整に十分な配慮が必要であったことが影響していたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
H23年度からH24年度は、主に母親と子どもの立ち会い出産の記憶を後方視的に調査した。その調査の過程で母親とその子どもの「その後の生活」及び「その後の家族関係」に関する体験を明らかにするという新たな研究課題が見出された。従って、今後の研究の推進方策としては、立ち会い出産から13年後におけるフォローアップスタデ-の第2弾として、上の子どもを含む立ち会い出産のその後の展開に焦点を当てた面接調査を行い分析結果を得ることである。 当該年度は、新たな研究課題に焦点を合わせてインタビューガイドを修正し、1家族について複数回の公式的な半構成的面接を行いたい。2回目以降の面接では、既取得データの不明確な箇所を確認して対象者の表出の意味を顕在化させることを心掛け分析結果を出したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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