研究課題/領域番号 |
23660076
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
渡辺 かづみ 山梨県立大学, 看護学部, 准教授 (80347236)
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研究分担者 |
清水 恵子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (10381708)
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キーワード | 自殺未遂 / 家族 / 急性期 / 心理的変化 / 家族看護 |
研究概要 |
研究対象者の家族に面接するにあたり、精神科医より対象者の限定を行った方が良いと助言をうけたので、2010年1年間の看護記録から「自殺未遂患者の概要」と「自殺未遂患者の家族の心理的変化」について分析した。分析の結果、次のことが明らかになった。1.自殺未遂者の手段として多かったのは、薬物・毒物であり、次に縊首、自傷であった。2.自殺未遂患者の年代は30代が一番多く次に20代、40代であった。3.第一発見者は母親が一番多く、次に配偶者、父親の順であった。4.入院病日別では、入院病日が増えるに従って減少していた。5.平均入院期間は5.3日であった。6.自殺未遂者のうち、精神疾患の既往があるものが約70%であった。7.看護記録に家族の思いがあった割合は、入院期間が長くなるほど記載率は増加していた。8.看護記録に見られた76人の自殺未遂患者の家族の思いとして、「驚き・衝撃」、「状態に対する心配」、「回復への願い」、「今後の不安」、「安堵感」、「患者の支援」、「無力感」、「自責感」、「患者に関わることへの躊躇・困難さ」、「世間体への恐れ」、「命の尊厳」という11のカテゴリーと44のサブカテゴリーが抽出された。これらは、研究目的1「自殺未遂患者の家族の心理的変化を、急性期に焦点をあて明らかにする。」を記録の分析から明らかにしたが、記録に家族の思いの全てが残っているとは限らないので、平成25年度は家族と面接し直接思いを語ってもらう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定より遅れている理由としては、対象家族を特定するために、当初予定していなかった自殺企図者の概要を把握するなど基礎的研究の必要性が生じ、それに取り組んだためである。また、基礎研究を基に研究対象を、①患者は初回の自殺未遂患者であり、医師の判断にて回復の見込みのある状態であること、②患者の入院期間が5日以上であること、③家族の精神的な衝撃が入院当初より軽減し、面接が可能だと思われる家族であることとした条件も、対象者が確保出来ず送れている原因と推察する。 <達成度> 現時点では過去の記録から、「研究目的1:自殺未遂患者の家族の心理的変化を、急性期に焦点をあて明らかにする。」を達成したが、直接家族に面接し、家族の心理的変化を明らかにはしていないので、今年度取り組みたい。また「研究目的2:自殺未遂患者の家族にとって効果的な資源を明らかにする。」「研究目的3:急性期における効果的な医療関係者の援助を明らかにする。」については明らかにできていないので、あわせて今年度明らかにしたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
重要な研究課題なので、今年度は全ての研究目的が達成できるよう次の様に取り組みたい。目的達成のための課題は、対象者の確保である。次の様に取り組み対象者を確保する予定である。1.既に県内の施設には研究依頼を行い施設の同意を得ている。対象家族がいた場合研究を依頼し、同意が得られたらデータを収集する。2.対象者の確保が県内だけで難しいと予測された場合、「自殺企図者のケアに関する検討委員会」を持つ日本臨床救急医学会を通し研究協力を依頼し、対象者の確保に努める。3.個人的なルートで研究効力病院を確保し、対象者の確保に努める。 今年度の予定は、10月末までにデータ収集を終え、その後分析し、結果・考察をまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費の使用計画は下記の通りである。 人件費・謝金:120,000円 旅費:210,000円 物品費:50,014円 印刷費:70,000円 会議費:30,000円 合計480,014円
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