研究課題/領域番号 |
23660079
|
研究機関 | 弘前学院大学 |
研究代表者 |
工藤 優子 弘前学院大学, 看護学部, 講師 (10553042)
|
研究分担者 |
櫛引 美代子 弘前学院大学, 看護学部, 教授 (70234424)
|
キーワード | 妊婦 / 妊娠子宮の増大 / 腹部の突出 / 妊娠子宮による視界の制限 |
研究概要 |
平成23年度は1.増大した妊娠子宮によって変化する日常生活動作に関するアンケート調査と2.非妊娠女性を対象とした妊婦疑似体験による視界の測定を実施した。アンケート調査の結果、妊娠21週以降、子宮底長21㎝以上、腹囲81㎝以上の妊婦では足元が見えにくくなることが示唆された。また、非妊娠女性を対象とした妊婦疑似体験による視野の測定では、平面において立位正面で足元から見える地点は、妊婦体験ジャケット装着後は妊婦体験ジャケット装着前より有意に前方に延長しており、増大した妊娠による腹部が妊婦の足元の視界を制限していると考えられた。 平成24年度は研究計画に基づき以下の研究に着手した。 1.実験:妊婦を対象とした視界の測定。対象:正常な妊娠経過をたどる妊婦のべ51名。研究方法:眼球運動測定装置アイマークEM―8Bにより①②の場面で視界の測定を行う。①立位と座位で特注のスケール(ノンスリップタイプ)を床に敷いて足元の視界を測定する。②階段の昇降時(特に前方)における足元の視界を測定する。 実験の結果、平面の立位正面において妊婦が見える地点の平均値は、子宮底長26㎝以上で約10㎝前方に延長していた。降りる階段の踏面の1段目は子宮底長25cm以下では全ての妊婦が見えていたが、子宮底長26~30㎝では16%、31cm以上では74%の妊婦が1段目が見えなかった。妊婦は子宮底長26cm以上で足元の視界が著しく制限されると考えられた。これまでの研究結果より、妊婦健診の際には子宮底長26㎝以上で足元が見えにくくなることを指導する必要があると考えられた。 アンケート調査の結果は平成24年11月に学術集会で発表した。非妊娠女性の妊婦疑似体験による視野測定の結果は平成25年8月の学術集会で発表する。妊婦の視界測定(横断的調査)の結果は平成25年10月の学術集会で発表予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は計画した①実験:非妊娠女性を対象とした妊婦疑似体験による視界の測定と②妊婦を対象とした日常生活動作の変化に関するアンケート調査は終了し、①実験の結果は平成25年8月に学術集会で発表する。②のアンケート調査の結果は平成24年10月の学術集会で発表した。 平成24年度は計画に基づき、妊婦を対象とした視野の測定(横断的調査)を実施した。実験を円滑に行うために、協力を依頼する施設には予め器材を搬入し物品の準備を十分に行った。予め講義と重複しないような時間と曜日を調べ研究者の時間を調整してから、実験を依頼する妊婦を決定し研究協力を依頼したため、妊婦と研究者3名との時間調整がスムーズにできた。眼球運動測定装置EMR―8Bの操作方法は研究者間で確認し合い円滑に操作できるようになり、妊婦一人当たりの実験時間を短縮することができた。実験中は妊婦の安全を十分に確保するために、必ず2人以上の研究者で行った。実験中に妊婦が体調をくずすことはなく安全に実験を実施できた。妊婦の視野測定は予定した30名を上回る延べ51名の妊婦の協力を得ることができた。妊婦の視野測定(横断的調査)の結果は平成25年10月の学術集会で発表予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、研究計画に基づき、1.妊婦を対象とした視界の測定(縦断的調査)を実施する。 対象:正常な妊娠経過をたどる妊婦5~10名。 研究方法:眼球運動測定装置アイマークレコーダーEMR―8Bと特注スケールを用いて妊婦の足元の視界、階段昇降時の踏面の視界を妊娠初期、中期、後期で測定する(縦断的調査)。 実験は妊婦の安全を考慮して産科クリニックにおいて実施し研究者3人で実験する予定である。研究協力者の妊婦と研究者3名との時間を調整する必要があるため、実験の協力を依頼する妊婦は早期に決定し依頼する。実験は講義と重複しないような時間と曜日を予め調べ研究者の時間調整をしてから、研究協力を依頼する。研究結果は平成26年度の学術集会で発表する予定である。 また、平成24年度に実施した非妊娠女性を対象とした妊婦疑似体験による視野測定の結果は、日本看護研究学会第39回学術集会で演題が採択され発表する。さらに、妊婦の視野測定(横断的調査)の研究結果は、10月の学術集会で発表する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度研究費使用計画 備品:100,000(画像編集・加工ソフト) 人件費・謝金:150,000(延べ30名分の研究力謝金) 旅費:200,000(2名分の学会発表旅費) その他:50,000(印刷代)が少なくとも必要である。
|