本研究の目的はヒト新生児を対象に、採血に伴う痛みに対して海外で行われている甘味を用いた疼痛緩和手段が本邦の新生児での同様の効果が期待できるか否かを解明することであった。実験では正期産新生児を対象に、先天性代謝異常検査に伴う採血時痛に対する味覚刺激の有用性について検証を行なった。研究では、まず非侵襲的に痛覚反応を評価できる精神性発汗に着目し、新生児での研究に用いるために測定手技及びプローブの改良について検討した。次に、非侵襲的に採取可能な唾液検体に関しても吟味し、唾液中クロモグラニンAによる痛覚反応の応用について検討した。これらの検討を経て、正期産新生児を対象に踵採血時の痛み反応に対する味覚刺激の効果を検証した。本研究の実施によって本邦における新生児での痛みの評価及び味覚刺激に関する基礎的知見を得ることができた。
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