本研究は、地域で生活している精神障害者を対象に心の知能指数・Emotional Intelligence Quotient (EQ)の向上に向けた教育的な関わりを行って、EQ教育、人間関係・コミュニケーションスキル教育プログラムを作成し実施すると共に、就労におけるジョブコーチ制を導入したシステム作り、社会参加を促進するケアシステムの構築と実践を行う。この取り組みを通して、精神障害者の就労や社会参加を支援し、生活満足度QOLを高めることを目的とする。さらに、これらのプログラムやシステム導入の精神障害者就労支援としての評価を行い、精神障害者就労支援に有効な要素を研究期間内に明らかにすることを目指すものである。 平成24年度には、精神科クリニックデイケアにおいて、EQ教育、人間関係・コミュニケーションスキル教育プログラム(90分)を週1回の割合で3回実施し、地域で生活している精神障害者へのその教育効果について評価を行い、対人関係能力を向上させることができた。 実際の就労支援として、ジョブコーチ制を導入したシステム作りを計画していたが、対象者の多くは、すでに就労をしていて、復職を目指している対象者が多かったが、その対象者の多くは、復職することができた。また、不景気の影響や土地柄にもより、就労先を獲得することが困難で、新たに就労できた人は少ないため、就労支援システムを構築することは、厳しい状況であった。 平成25年度は、EQ教育、人間関係・コミュニケーションスキル教育プログラムを実施した対象者の中で、継続してデイケアに通所している対象者に対して、EQ教育、人間関係・コミュニケーションスキル教育プログラム(90分)のポイントを1回実施して(復習)、対人関係能力の強化を行なった。その後、EQと生活満足度QOLについて再調査を実施し、その教育効果を再評価した。
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