研究課題/領域番号 |
23660093
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐々木 明子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (20167430)
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研究分担者 |
小野 ミツ 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (60315182)
川原 礼子 東北大学, 医学部・医学系研究科, 教授 (40272075)
森田 久美子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 准教授 (40334445)
田沼 寮子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (70336494)
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キーワード | 高齢者 / 日本文化 / カード式回想法 / 情動機能 / 会話の促進 / 共感 / 他者への関心 / 社会交流の促進 |
研究概要 |
高齢者ケアの方法として回想法を行う場合、昔の生活道具、写真、絵、音楽、歌など多種多様のものがある。しかし、回想法の新たな手法としてカードを活用した回想法はわが国ではまだ開発されておらず、その有効性に関する研究もあまりみられていない。 そこで高齢者用日本文化型カード式回想法を開発し、地域の健康高齢者20人にグループで回想法を試行し、効果を明らかにした。 フェイススケールによる精神的な状況の主観的評価は、回想法の実施前は1(最良状態)が2人(10.0%)、2が5人(25.0%)、3が7人(35.0%)、4が1人(5.0%)、5が2人(10.0%)、6が2人(10.0%)、7が1人(5.0%)、平均値は3.3(±1.7)だった。回想法の実施後は、1が7人(35.0%)、2が3人(15.0%)、3が8人(40.0%)、4が2人(10.0%)、平均値は2.3(±1.1)だった。フェイススケールの変化としては、最良状態維持が1人(5.0%)、改善が12人(60.0%)、維持が5人(25.0%)、悪化が2人(10.0%)とよい状態に変化した者が多かった。 回想法の参加後の高齢者は、「思い出をよく話した」では、非常にできた・まあできたとした者は17人(85.0%)だった。「他人の思い出話をよく聞けた」,「他人の歩んできた生活を知った」は、非常にできた・まあできたとした者は20人すべてだった。「他人に共感できた」は、非常にできた・まあできたとした者は19人(95.0%)だった。回想法の実施後は、非常に楽しかった・まあ楽しかったとした者は20人すべてだった。 高齢者用日本文化型カード式回想法は、地域の健康高齢者にとって情動機能の活性化、表情の豊かさの増加、会話の促進に有効だった。特に支持的・共感的な対人関係の形成、他者への関心の増大と理解、社会交流の促進において有効であると示唆された。
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