研究課題/領域番号 |
23660095
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
登坂 祐明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10592371)
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研究分担者 |
森 祥子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40581335)
水渓 雅子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (20115637)
橋本 容子 愛知淑徳大学, 公私立大学の部局等, 助教 (20585228)
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キーワード | 地域精神医療 / 障害者自立支援 / 精神障害者 / ノーマライゼーション / 脱施設化 / 精神医療改革 |
研究概要 |
○本年度は、①「地域医療に携わる医療従事者の効力感に関する質問紙」と②「地域精神医療を利用する人達の満足度に関する質問紙」を作成して発送するまでを目標として課題に取り組んだ。また、研究目的に添った成果を得る為の準備として、研究分担者や協力者との意見交換の場を設け、以下のよう方向性が検討された。 ●昨年度は調査対象となる全国の地域精神医療関連施設(104830件)をリストアップする事ができたが、それらを「A群:生活技能訓練施設」「B群:居住先の提供と管理を提供する事業所」「C群:ホームヘルプサービスに関わる事業所」「D群:介護福祉施設」などの提供されるサービスの種類によって大まかに仕分けすると、これらの割合が都道府県ごとに大きく異なる事がわかった。/調査対象を選択する上での判断材料 ●厚生労働省を中心とした施策(地域精神医療拡大に向けた取り組み→「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」)に注目しながら、近年の精神医療改革の論点を整理して捉え、施策のモデルとなる諸外国(オーストラリア、フィンランド、イギリス、ドイツなど)の実情(改革の概要、課題)から、わが国の地域医療拡大に向けた取り組みによる問題として想定される事柄などについて検討した。 ●医療従事者の効力感に関する質問紙は、組織成員が「自分自身の仕事の内容」や「職務特性」、「仕事環境」などを知覚することで形成される主観的な感情…と説明される「職務満足」という概念を利用し、地域精神医療に携わる医療従事者に共通したテーマを項目の内容に取り入れて作成する予定。 ○利用者の満足度に関する質問紙は、2012年6月に国立看護大学校所属の天谷真奈美教授に了解をいただき、精神障害者の社会参加効力感尺度(SESP27もしくはSESP10)の利用が可能となったので、これに利用サービスに対する評価などの項目を付け加え作成する予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・「地域精神医療に携わる医療従事者の効力感」に関する質問紙を作成するにあたって調査の対象となる人が①有資格・無資格を含めて多職種を対象とする事、また②事業所の組織形態や業務内容などがサービスによって異なる…、などの点から地域精神医療を構成する様々なシステムに関する全体像を十分に理解した上で、質問紙の作成に取り掛かる必要があった。当初は、異なるサービス毎に質問紙を作成する必要性も感じて試行錯誤をしたが、最終的には一本化する方向に決定した。しかし、遠回りしたことにより現行の地域医療システムの理解も深まり、調査結果を分析する上での視野は拡がったと思われる。 ・当初の予定では、国内各所で地域医療サービスが行われている現場を視察して、当事者の人達からの生の声を聴いて取り組みの参考にしたいと考えていたが、研究費削減や 視察に割り当てる時間とスケジュールの調整が難しかったなどの問題から、やむを得ず見送ることとなり、残念ではあるが文献などによる情報を利用して対処する事とした。 ※結果として、目標としていた①質問紙の作成と②倫理審査、さらに③質問紙の発送は来年度に見送りとなり、課題の進行は当初の予定から「やや遅れている」。
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今後の研究の推進方策 |
・平成25年度は、8月頃までにて所属大学(名古屋大学)の倫理審査会の審査を受け、調査用紙の発送。12月頃までにデータの統計処理と分析を行い、年度末までに成果をまとめたいと考えている。また、海外視察は、質問紙による調査結果を平成26年1月頃までにまとめ、海外の実態を交えて国際的な視野から、より深い議論と分析を行う為の最終的な取組みとして、平成26年2月~3月頃に実施したい。対象とする国は、厚生労働省が近年の精神医療改革のモデルとした海外の医療システムのから、次年度の予算内に収まる範囲で、調査結果に照らし合わせながら次年度に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
・次年度は、質問紙を作成して発送する為の①印刷代、②郵送料、③封筒や宛名ラベルなどに加えて、④統計処理に関連したソフトウェア、⑤会議費、⑥施設見学もしくは、海外視察のための旅費、⑥地域精神医療に関連した学会への参加費などを研究費として使用する予定。
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