研究課題/領域番号 |
23660096
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 久美子 名古屋大学, 医学部, 准教授 (40259388)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 子どもの虐待予防 / ネットワークの構築 / ネットワークの評価 / ヘルスプロモーション |
研究概要 |
子どもの虐待防止対策には、子どもと虐待者に対して、発生予防と早期発見・早期対応、保護・支援の切れ目のない総合的支援となって行われることが不可欠である。関係機関のネットワークに住民代表を加え、住民と協同することで子どもの虐待予防を健康問題として取り組むまちづくりのモデルを作成し、地域における子どもの虐待予防の効果的なネットワーク構築の方法論を探求する。今年度は、児童虐待防止法施行以前の平成10年から市で立ち上げたネットワーク会議をストラクチャー・プロセス・アウトプット・アウトカム評価を行った。ネットワーク会議は、保健センターが中心になり、保健(保健所)、医療(市民病院、医師会)福祉(児童相談所、福祉事務所)教育(教育委員会、小中学校、幼稚園、保育園、学習課)児童民生委員から始まった。虐待通告数と把握数は増加し、特に教育委員会が11年度から虐待研修を実施することで、学校からの虐待相談件数が激増した。平成12年の児童虐待防止法の施行時には、市の福祉事務所が、ネットワーク会議の窓口となり、ケースワーカーの増員配置及び研修会や市民向けの広報活動を予算化していた。事例検討をする中で、乳幼児期から思春期まで一貫して支援していく体制の必要性が参加者の中で共通認識となっていた。また、事例を分析することで、各機関の役割と連携の必要性が理解され、会議の参加者によってマニュアルの作成を行なった。必要な人材が明確になり、ネットワークに弁護士や生活安全課などの機関や職種が参加した。また、相談件数の増加とともに、連携が強化され、中学校区単位で事例検討の場がもたれるようになった。ネットワーク会議では、各機関が予防策を考える視点を持ち各機関が一次予防にも力をいれ、毎年事業目標と結果を報告しあった。母親の自主サークル数を増やし、そのグループのネットワークを作っていった。エンパワメントされる仕組みがあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
子どもの虐待予防ネットワークと要保護児童対策協議会の整合性について、市から検討の意見が出され参加者募集が遅くなった。 児童虐待防止法の施行以前より、市町レベルで子どもの虐待予防ネットワークを立ち上げ継続している会議のストラクチャー・プロセス・アウトプット・アウトカム評価を行い検討した。当初から、子どもの虐待を三次予防としてとらえるのではなく、一次予防の子育て支援からとらえる視点を持っていたこと、学識経験者を交えて、その視点を事例検討や分析を行い、一次予防に関わる関係者と共有していたこと、その工夫がされていたことが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのネットワーク会議の評価を更に、個別にインタビューを増やしていき、ネットワークが活性化する要因の検討をする。これまでのネットワーク会議の評価をネットワーク会議のメンバーと共通認識にする。(1)子どもの虐待防止ネットワーク会議に参加しているメンバーが集まり目的の共有化を図る。(2)子どもの虐待防止ネットワーク会議に参加しているメンバーが自らの問題を認識しているか、QOLや生活状況を主観的にどう捉えられているかをノミナル・グループ・プロセス法にて事前評価する。(3)事例検討や既存資料から地域にある問題やニーズ、社会指標やデータを分析し、主観的データを確認し明確にする。(4)そのニーズの推定要因や望まれる目標の決定要因についての文書の裏付け、目標や目的を明確にして優先項目を決定する。(5)介入モデル地域を決定する。(2)子どもの虐待防止ネットワークで、子どもが健やかに安全に暮らせるまちの条件を考え、それを実現するために必要な条件を話しあい提案する。(3)子どもの虐待防止ネットワーク会議で理想の条件を整えるために、誰(機関)が何をすべきか考え、具体的な目標の策定と社会資源の開発検討を行う。具体的な評価指標を検討する。(4)地域における子どもの虐待予防に必要な具体的な行動計画書を作成する。9月~10月:関係機関で子どもが健やかに安全に暮らせるまちを達成するための条件を話し合う。11月~12月達成目標の設定、目標実現のための方法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度、ネットワーク会議が保留になったため、調査対象地にいくことが少なかった。来年度は、調査対象地に集中的に滞在し、取り組む予定であるため、旅費と会議費用、研究協力者に対する謝金を中心に執行する予定である。平成24年度 物品費用 380,000、旅費 400,000 人件費・謝金 400,000 その他 110,000 合計1290,000
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