研究課題/領域番号 |
23660100
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
谷岡 哲也 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90319997)
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研究分担者 |
川西 千惠美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40161335)
友竹 正人 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50294682)
安原 由子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90363150)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 筋肉注射 / 中殿筋 / 持効性注射剤 / 簡便な距離推定指標 / 筋膜 / 看護 |
研究概要 |
近年、筋肉注射による薬剤投与は減少傾向にある。しかし、精神科においては中断しやすい経口薬よりも筋肉注射による持効性注射剤による再発予防効果が期待されている。 筋肉注射は一般的に看護者によって実施される手技である。これまで筋肉注射の部位は、日本では簡便性から三角筋で実施されている現状がある。しかし、投与量や、薬剤の性状、血管や神経の走行からの安全面、穿刺時及び注入時の疼痛等を考慮した場合は中殿筋が適切と考えられる。 精神科領域で用いられている持効性注射剤は日本では中殿筋に注射されている。その際、適切な注射針を選択する判断は看護者に委ねられている。臨床で働く看護師の多くは, 一般的に言われている23G(長さ32mm) 注射針の2/3~1/2を挿入する、という基準を用いている。しかし、体格や注射針の刺入角度によっては皮下注射になっていたり、中殿筋に注入できていなかったりすることが考えられる。 また、精神科の領域において統合失調症の治療薬のキット製品に2インチの注射針が同梱されているrisperidone long acting injectable injectionがある。通常使用されている注射針よりはるかに長く、特に痩せ型の患者に対して必要な深さまで注射針を刺入するのをためらってしまう傾向がある。 先行研究では中殿筋における筋膜までの距離に関する情報にバラツキがあり、適切な注射針の選択指標や中殿筋までの距離を推定する指標は現在までほとんど報告されていない。また、持効性注射剤以外の筋肉注射は三角筋に注射されている場合があるが、筋膜までの簡便な距離推定指標があれば、安全な中殿筋への筋肉注射を推奨する根拠を得ることができると考える。 平成23年度は、持効性注射剤の筋肉注射を必要とする統合失調症の患者37名と本人の同意を得た20歳以上、60歳未満の健常者39名を対象に調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象者は、統合失調症の患者80名、健常者80名である。現在は、持効性注射剤の筋肉注射を必要とする統合失調症の患者37名と本人の同意を得た20歳以上、60歳未満の健常者39名のデータを取得した。両群とも身長、体重、BMI、腹囲、コレステロール、中性脂肪、肝機能などの生化学データの調査を行った。患者群では両群で通常医療で行っている筋肉注射を実施し注射針刺入の角度、深さ、刺入及び注入部位、殿部の皮脂厚、筋肉組織の厚さを調査した。一方健常者群では、エコー検査により殿部の4分3分法の部位の皮脂厚、筋肉組織の厚さの調査を行った。平成24年度は、前年度に調査出来なかった健常者41名、患者3名と本年度の計画である患者40名の調査を引き続き行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、熊本市の協力を得られたA病院で統合失調症の患者50名を対象に調査予定である。また、現在調査済みのデータをマッチングし、さらに被験者の調査を行う。表皮から筋膜までの推定式の作成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査にかかる旅費、宿泊費、被験者への謝礼。また、英文翻訳、英文校正、論文投稿費用、国際学会および国内学会参加費用を計上している。
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