研究課題/領域番号 |
23660100
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
谷岡 哲也 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90319997)
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研究分担者 |
川西 千惠美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40161335)
友竹 正人 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50294682)
安原 由子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90363150)
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キーワード | 筋肉注射 / 中殿筋 / 持効性注射剤 / 簡便な距離推定指標 / 筋膜 / 看護 |
研究概要 |
本研究では「中殿筋における確実な持効性注射剤の筋肉注射のための筋膜までの簡便な距離推定指標を作成する」ことが目的である。 平成23年度に引き続き、熊本県の明生病院において統合失調症患者32名の超音波診断装置による測定を行った。超音波診断装置を使用しながら、筋肉注射を投与することで、確実に筋肉内に薬液が注入できることが確認できた。また、統合失調症治療薬のキット製剤に2インチの注射針が同梱されているリスペリドン持効果性注射剤がある。2インチ(5㎝)注射針であり、通常使用されている注射針より長く医師や看護師が刺入することをためらっている場合もあった。この場合、超音波診断装置を用いることで、5㎝刺入しても腸骨まで到達しないことが明らかとなった。 また23G(32㎜)注射針を使用していた症例に対して20G(38㎜)の注射針に変更し、投与を行うことで、硬結が消失し、精神症状が緩和した症例も見られた。この症例のように、確実に中殿筋内へ薬液を注入することで副作用の消失、精神症状の緩和に繋がる可能性が示唆された。 超音波診断装置を用いて、筋肉注射部位を確認することで表皮から筋膜までの距離および腸骨までの距離を確実に確認できる。しかし、超音波診断装置は高価であり、どこの病院でも使用できない。そのため、これまで調査した結果から筋肉注射部位の表皮から筋膜までの簡易推定指標を作成することは重要である。また、日本の精神科病院で多く用いられている殿部の注射部位の特定方法である四文三分法よりも海外でベストプラクティスとされているダブルクロス法を使用することも検討すべきであることが明らかとなった。 平成25年度は引き続きデータ収集を行い、安全な中殿筋への筋肉注射を推奨する根拠になる推定指標の作成を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、統合失調症患者32名の超音波診断装置による測定を行った。超音波診断装置を使用しながら、筋肉注射を投与することで、確実に筋肉内に薬液が注入できることが確認できた。また、統合失調症治療薬のキット製剤に同梱されている2インチの注射針は通常使用されている注射針より長い。そのため、医師や看護師が刺入することをためらっている場合もあった。この場合、超音波診断装置を用いることで、5㎝刺入しても腸骨まで到達しないことが明らかとなった。 加えて23G(32㎜)注射針を使用していた症例に対して20G(38㎜)の注射針に変更し、投与を行うことで、硬結が消失し、精神症状が緩和した症例も見られた。この症例のように、確実に中殿筋内へ薬液を注入することで副作用としての皮膚反応の消失、精神症状の緩和に繋がる可能性が示唆された。 以上の明らかになった点を踏まえ、筋肉注射部位の表皮から筋膜までの簡易推定指標に関連している新たな検査項目も追加し、さらに精度の高い推定式について検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで調査済みのデータをもとに、筋肉注射部位の表皮から筋膜までの簡易推定指標の作成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰越額は、論文投稿費用、研究の打ち合わせおよび学会発表のための旅費に使用する予定である。
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