研究課題/領域番号 |
23660105
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
阿部 智恵子 石川県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80337427)
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研究分担者 |
樫田 美雄 徳島大学, その他の研究科, 准教授 (10282295)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 母と子 / 相互行為分析 / 子育て支援 / コミュニケーション |
研究概要 |
3年計画の1年度目の研究として、学際的共同に関わる基盤整備、一部の本格調査、プラス若干の分析を行った。徳島大学でのビデオエスノグラフィー関連の調査及び、11月に行われた在宅ワークショップのデータセッションを繰り返し行った。データセッションは、ビデオ操作やビデオ分析や会話分析の習熟度や精度を上げるのに有効であった。データセッションの中で、発見があった。一見しただけでは、わからないような振る舞いや言葉の中に、ビデオを繰り返し見ることで、秩序だった行為が埋め込まれていることが理解できた。 また、石川で2日間の合宿を行い、川島理恵氏、岡田光弘氏の招聘を行った。会話分析専門家との早い時期での合宿により、ビデオエスノグラフィーにおける分析技術を格段に洗練させることができた。例えば、「少年サッカー」の相互行為分析では、少年サッカーの選手に、指導者が、競技中に「お互いに声をかけあおう」という指導がなされていた。その行為が、どのような相互行為のもと行われ、それが、チームの中で、競技の中で、どのような意味をもってくるのかということや、子どもの性格や特徴を指導者が、指導の中にどのように取り入れているか、など、本研究を分析する上で、大変参考になる視点があった。 本研究のフィールドは、石川県で子育て支援センターの協力が得られ、スタッフと数回のうち合わせや情報提供が得られた。母子の遊びの場面に数回の参与観察を行った。参与観察の若干の分析を行ったが、子育て支援センターという場、職員、他の母子の存在が、母子の相互行為に影響を与える可能性のあることがわかった。多くの参与観察を行うことにより本調査のビデオ撮影を行う上での、多角的な視点を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビデオ操作やビデオ分析や会話分析の習熟度や精度を繰り返しのデータセッションであげることができた。これは、研究を遂行する上で、大変重要なことである。 フイールドが確保でき、すでに複数回、母子の参与観察に入っている。ビデオ撮影を行う前に、参与観察が、十分なされていることが、研究の成功の鍵を握っているといえるであろう。参与観察で得られた情報や分析に基づいたビデオ撮影や分析が行われることが、母子の相互行為研究を行う上で重要であり、おおむね順調に進展している。子育て支援センターのスタッフとも、交流し、お互いの情報交換も進んでいる。 研究分担者との打合せや研究会も複数回持ち、共通理解もできており、次年度の2年度目の調査に、大きく成果を出すための準備は滞りなく進んでいると言えるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本調査をいかに、成功させるかが重要である。課題としては、子育て支援センターという場で、音声状態が良好なビデオ撮影に成功できるかどうか、にかかっている。そのためには、ビデオの配置や設置等に多くの配慮が必要になってくる。また、撮影のタイミングや母子への配慮、自然の姿の母子を撮影ができるように、撮影のシュミレーションを行うことが重要であると考えている。 可能な限り、中間事例報告的なものになるが、学会発表も行うことにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
ビデオ分析は、トランスクリプト(転写文)づくりの経費を要する。トランスクリプト作成も分析研究会も前倒しになるため、平成25年度に請求する金額が減少しているが、研究目的達成の妨げにはならない。得られたデーターの有効活用を図りたい。論文及び「トランスクリプト集」のweb掲載も実施し、研究の広がりを図りたい。さらに本科研の「母と子の関係を捉え直す」という当初の目的について得られた結果を取りまとめ、成果の発表を学会(日本社会学会、日本質的心理学会、日本地域看護学会等)で行う。得られた知見を基に「子育て現場」、「看護教育」、「社会」にむけて情報発信をしていきたい。
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