研究概要 |
認知症高齢者が、住み慣れた地域で暮らし続けるためにオレンジプランなど様々な取り組みがなされるようになり、グループホームもまた、その一環としての役割が重要となってきている。昨年度、調査用質問紙のみなおしを行い、本年度、調査施設3,000施設から約5,000施設のグループホームに対象をひろげ、質問紙調査を行った。その結果、1,067施設から回答を得られ、有効回答率21.3%であった。回答施設の構成は、経営母体および入居定員、平均介護度等、既存で報告されている全国平均と近似であり、全国の傾向を反映していると判断された。そのなかで、なじみの場づくりとして重要と考えているのは入居者の身体の状態、認知機能の変化、入居者個人に向き合うこと、自己効力感をもてるかかわりをすることであった。しかし、現実的にはその人個人にかかわること、尊厳を守り、さらに伸ばしていくことに関してはケアが不十分と感じていた。 日常生活行動においては、「電話をかける」、「戸外へ外出し、地域住民と交流ができる」、「金銭管理ができる」など必要と考えているにも関わらずケアができていないと考えている傾向にあることが明らかとなった。一方、水中運動に参加されている健康な高齢者における楽しみを聞き取りしたところ、外に出て大勢の人と関わり友達を作る、お喋りをする、好みの水着を買うなどがあげられており、グループホームにおいても、生活という基盤を求める以上、施設内だけの充実ではなく、地域の中の一部としてのグループホームとなるように援助体制を整えていく必要があると考えられる。今後、経営母体別や、グループホームの理念、職員体制とのかかわりや、ケア項目の重みづけなど詳細な検討が必要である。
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