研究課題/領域番号 |
23660113
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
林 みつる 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (20300402)
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キーワード | 訪問入浴サービス / 在宅療養 / 要介護高齢者 |
研究概要 |
当該年度は、初年度に実施した、訪問入浴介護サービス事業者が実施している訪問入浴介護における入浴援助に関して実態調査を集計および分析を行った。 実態調査は、首都圏の指定居宅介護支援事業所[訪問入浴]のサービス管理責任者および看護師それぞれ1名を対象に、質問選択肢形式アンケートを郵送法で実施した。調査内容は、①訪問入浴サービス事業者および利用者の属性(従事する職種や人数、一日の訪問件数や1件あたりの平均滞在時間、サービス利用数、利用者の要介護度や医療処置内容など)やマニュアルにしている入浴手順や援助内容②同行する看護師が担っている入浴可否判断に関することである。 【実態調査の結果】訪問入浴サービス利用者の要介護度は「要介護5」と「要介護4」で7割を占めていた。介護を必要とする状態につながった疾患は「脳血管障害」25.9%、「認知症」11.0%、「糖尿病」11.0%であり、利用頻度は「月に4~6回」が最も多い(58.7%)。訪問入浴に従事している看護師の年齢は30代から40代が6割を占め、看護職としての全経験年数は10年以上20年未満が4割であった。訪問入浴での経験年数は5年以上10年未満が32.1%、10年以上が23.1%であった。訪問入浴に携わって経験した医療内容[複数回答]は、褥瘡などの創傷処置や点滴などによる疼痛管理、浣腸や摘便など幅広くあがった。入浴を中止する最終決定者は看護師(72.0%)が最も多く、「医師の意見書」の許容範囲でない場合に最も多い対処法は「家族に相談して方法を変更する」(67.0%)であった。 本年度[最終年度]は、これら実態調査の結果をもとに、サービス利用者の安全や安楽の視点からみた入浴方法について検討する。これは、介護用特殊浴槽を用いる場合の安全な入浴基準の作成につながることを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、実態調査の結果から抽出された各居宅介護支援事業所の入浴援助について、入浴手順や援助内容を平均化し安全性について生理的データの実測を行い検証する予定であった。しかし、実施にあたり、特殊浴槽の調達(入浴車や専門人員)において、サービス日以外に日程を合わせる必要があり、また、入浴援助を再現し実測する場所の確保や被験者の都合などと合わせると、日々稼働している事業者に理解や協力を得ることは予想以上に困難であった。被験者はサービスを必要としない一般高齢者であり、「訪問入浴サービス」の認知度は低く、また、“入浴する”という状況は羞恥心をともない協力に理解を得られない状況にあると考えられる。 実施方法を再構し、介護用特殊浴槽を用いる場合のにつなげられるように、改めて訪問入浴サービスの安全性について検証できるようにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は訪問入浴サービスの安全性について検証し安全な入浴基準の作成を目標としている。 実施(検証)方法を再構し、被験者とする対象をサービス利用者とする。居宅介護支援事業所に研究協力を依頼する。状態の安定しているサービス利用者を紹介して頂き、実際の入浴援助時の(サービスに同行する形で)データから安全性を検証する。この場合、居宅介護支援事業所のサービス評価をするものではないこと、実測は業務上支障をきたさない、利用者に負担とならない方法で行うことを保障すること(倫理的配慮)を説明し、理解と協力を得る。 早期に当該大学倫理委員会に申請し承認を得る。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、検証に必要な機器備品の購入および特殊浴槽(入浴車)や会議室のレンタル費、調査および研究成果発表に関連する旅費などに用いる。
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