訪問入浴介護サービスの利用者は「寝たきり」高齢者が多く、室温や湯温・入浴時間などの温熱要因により生理的変化を受けやすい。『快適で安全な入浴』のあり方について示唆を得るため、温熱環境が身体に与える影響を検討した。 【方法】①データ収集方法:管理者の協力を得て、訪問入浴に同行し、入浴介護時の温熱環境項目として居室の室温・湿度、浴槽内の湯温を測定した。室温・湿度は、温湿度計[testo623]を利用者のベッドサイド床上約100cmの高さに、湯温は、温度計[ELUSB-1] を浴槽底中央に設置した。②調査期間:2013年7~9月③分析対象: 8名[男性1名、女性7名、平均年齢85.3歳]④分析方法:入浴前後のVital Signsと温熱環境項目について、入浴前後の変化はt検定をもちいて比較し、測定項目間の相関係数を求めた。有意水準は5%未満とした。⑤倫理的配慮:サービス利用および家族に測定主旨(目的および方法)を口頭で説明し、参加自由や協力撤回によるサービスへの不利益は被らないことなどを伝え同意を得た。 【結果】①平均室温:入湯時は29.2℃、出湯時は29.2℃であった。訪問時に比べると、室温はやや低下するが、湿度は浴槽への給湯により室内が加湿され上昇していた。②湯温管理:浴槽内の平均湯温は、入湯時37.2℃、出湯時38.2℃であった。入浴中の浴槽内湯温は安定していた。また、平均入浴時間は12分(最大15分、最少10分)であった。③Vital Signsの変化:入浴前後の血圧値は収縮期および拡張期ともに低下した。測定項目全てにおいて有意な差は認められなかった(P<0.05)。訪問時の室温と入浴前の収縮期血圧(r=0.84)、出湯時の湿度と入浴後の拡張期血圧(r=-0.72)・呼吸数(r=0.71)・SpO2値(r=0.74)に有意な相関が認められた(P<0.05)。
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