研究課題/領域番号 |
23660120
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研究機関 | 日本赤十字豊田看護大学 |
研究代表者 |
神谷 智子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 助教 (90440833)
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研究分担者 |
福田 由紀子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 准教授 (00321034)
竹内 貴子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 助教 (70559145)
奥村 潤子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (40300222)
杉浦 美佐子 椙山女学園大学, 看護学部, 教授 (40226436)
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キーワード | 看護学 / 老年看護 / 認知症 / 非薬物療法 / 笑い |
研究概要 |
本研究は、健康に及ぼす影響があると示唆されている「笑い」について、自律神経活動やストレス指標の観点から認知症高齢者への効果を検証するものである。 老人保健施設の認知症専門棟に入所している高齢者14名(男性1名、女性13名)を対象に、笑いに関する6種類のDVDを鑑賞し、その前後の唾液コルチゾール活性値を測定した。また、DVD鑑賞中の表情の変化による笑顔得点と脈拍値を測定した。使用したDVDの内容は、海外コメディー、ものまね、落語、動物映像、漫談、コントの6種類である。認知機能評価は、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)と認知症行動障害尺度(DBDスケール)によって評価した。倫理的配慮として、対象施設長と対象者本人および家族から研究協力の同意書を得た。 対象の属性は、平均年齢85.5(±4.9)歳、HDS-R平均9.1(±5.7)、DBDスケール平均18.7(±11.1)であった。DVD鑑賞前の唾液コルチゾール活性値の平均は0.19μg/dl、DVD鑑賞後は0.10μg/dl であった。DVD鑑賞前後の唾液コルチゾール活性値の差では0.07μg/dlから0.09μg/dlとDVDの種類の違いによる大きな差はみられなかった。笑顔得点では、無表情の反応を示す高齢者が多い中、動物映像のみ3(口を開け笑い声をあげる)を示す高齢者がみられた。脈拍変動では、DVDの種類の違いによる変動はみられなかった。 今回、6種類のDVDを鑑賞したが、笑いの表出および笑いによるストレス解消の明らかな効果は得られなかった。このことは、移り変わる映像を瞬時に読み取り解釈する能力が求められる視覚媒体の提供だけでは、認知症高齢者から笑いを引き出すことは困難であることが証明された結果といえる。今後は、字幕や解説など認知症高齢者の理解を促すような工夫を加える必要があると考える。
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