研究課題/領域番号 |
23660124
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研究機関 | 西九州大学 |
研究代表者 |
村田 伸 西九州大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00389503)
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研究分担者 |
山崎 先也 富山大学, その他の研究科, 准教授 (20352354)
大山 美智江 福岡県立大学, 人間社会学部, 研究員 (40448816)
大田尾 浩 県立広島大学, 保健福祉学部, 助教 (00441345)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 介護予防体重計 / 下肢荷重力 / 虚弱高齢者 / 高負荷トレーニング / 低負荷トレーニング / ランダム化比較試験 |
研究概要 |
<研究1: 虚弱高齢者でも安全に行える簡易下肢・体幹トレーニング法の開発> まず、ベースライン調査として4ヵ所の高齢者施設で研究参加者を募集し、書面で同意が得られた虚弱高齢者116名(平均年齢:78.9±7.6歳)を対象に、下肢荷重力の他、ハンドヘルドダイナモメータによる筋力測定、歩行速度、日常生活活動能力などを客観的に評価した。その結果、虚弱高齢者の下肢荷重力は大腿四頭筋筋力、歩行速度、日常生活活動の運動項目と有意に相関し、彼らの下肢機能を反映する簡便な評価方法であることが確認された。さらに、対象者を性別と年齢による層別化無作為割付け法を用いて、低負荷介入群(20名)と高負荷介入群(20名)、ならびに統制群(20名)の3群に振り分け、簡易下肢・体幹トレーニング{最大下肢荷重力の50%(低負荷群)および80%(高負荷群)の力で市販体重計を5秒間押す運動を15分間程度繰り返す}を週3日、12週間実施した。その結果、高負荷トレーニング群は他の2群と比較して、下肢荷重力、大腿四頭筋筋力、歩行速度が有意に改善した。ただし、日常生活活動には有意な改善は認められなかった。ただし、最大下肢荷重力の50%程度の運動負荷量では、身体機能の改善には結びつかいないことが示唆された。<研究2:介護予防体重計の開発> 介護予防体重計の開発には、ヤガミ社製のひずみゲージを用いた。ひずみゲージからの信号は、増幅装置とアナログ/デジタル変換器を内蔵した専用ボックスに接続され、デジタルデータとしてパーソナルコンピュータに記録・保存されるようにした。データはサンプリング周波数を10 Hzと100 Hzに切り替えが可能とし、測定範囲は0~99.9 kg、最小単位が0.1 kgの測定器を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1については、ベースライン調査においてほぼ計画通りの人数を対象に調査が行えた。ただし、計画にあった筋電図による筋の活動状態の評価、ならびに重心動揺計による立位バランスの評価は行えなかった。これは1回の調査に要する対象者への負担と時間的な制約によるものであったが、筋力の評価と最速歩行の評価で十分代替えできるものであった。また、層別化無作為割付け法を用いた介入研究は、計画より参加人数は減少したが、脱落者もなく、十分な成果が得られたと判断できる。 研究2についても、外観は十分なものではないが、機能的には計画通りの体重計を作成できたことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、介護予防体重計の再現性と妥当性を検証する。 測定器の信頼性は、テスト-再テスト法による再現性を検討することによって確認する。まず、健常成人(本学大学生;50名)を対象に確認した後、測定器に修正すべき点があればその部位を改良する。その後、地域在住の元気高齢者(福岡県福智町のふれあい交流参加高齢者;50名)や虚弱護高齢者(福岡県福智町の高齢者介護施設を利用している要介護認定高齢者50名)を対象に測定器の再現性を検証する(検者内および検者間級内相関係数で分析)。 測定器の妥当性は、再現性を検討した元気高齢者50名と虚弱高齢者50名、計100名を対象に、介護予防体重計から得られた測定値と、従来から下肢および体幹機能評価として汎用されているハンドヘルドダイナモメータによる筋力値や重心動揺計によるバランス機能との関連性から、依存的妥当性を検証する。その後、研究1で示された運動負荷量・頻度・期間にあわせて介入実験を行い、介護予防体重計を用いたトレーニング効果を判定する。また、得られた結果を取りまとめ、研究成果を各学会や学術雑誌で発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査を実施する際の研究補助者への謝金、対象者のリクルートに必要な通信費、調査の実施マニュアルや結果フィードバックの郵送費などを計上した。また、消耗品費としては、測定機器に必要な消耗品、データの収集と分析および蓄積のために必要な消耗品が計上されている。その他、必要経費として研究補助者への謝金、研究調査旅費、研究成果を国内学会や国際学会で発表するための旅費などを計上した。 なお、研究計画の変更はなく、研究を遂行する上での課題として介入研究におけるトレーニングへの高い参加率の確保があげられるが、研究分担者および市町村の協力により課題をクリアできるものと予測している。
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