前年度(平成25年度)の研究成果に基づき、主に、口腔粘膜と頬部皮膚面における寒冷感覚刺激、嗅神経とTRPM8受容体を介するミント系嗅覚刺激と味覚刺激の相乗作用による大脳前頭前野の血流増加現象について、若年・壮年健常者において再現性の確認と検証を進めた。さらに、学習系課題(反復単純計算)による血流増加をPositive controlとして比較・解析に用いることで、前頭前野腹外側領域(VL-PFC)と前頭前野背外側領域(DL-PFC)や右前頭極(R-FPA)等の機能局在部位における有意な血流増加現象を同定できた。さらに、同部位における有意な血流変化について、①Vmax (mM・mm) = The maximum blood-flow valueと②A task (mM・mm・sec) = Area of the increase in blood flow during task (from 0 sec to 60 sec)の2つの検定指標(パラメーター)を用いて検討・解析した。 その成果の一部を、平成26年6月に横浜で開催された学術集会「第37回日本神経科学大会」において発表し(演題名: The evaluation of the effect of intra-oral cold stimulus on the activity of prefrontal cortex in young adult subjects.)、同演題の質疑応答を通じて新たなデータ解釈と研究の方向性に関するアイデアが得られた。さらに、第38回日本神経科学大会(平成27年7月に神戸国際会議場で開催予定)における発表演題として、ミント系嗅覚刺激と味覚刺激の相乗作用による大脳前頭前野の活性化についての新たな知見を取りまとめることができた。また、三叉神経を介する口腔内ブラッシング刺激に関する研究成果を学術論文「老年歯科医学」に取りまとめることができた。
|