研究課題/領域番号 |
23680007
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
義久 智樹 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (00402743)
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キーワード | インターネット高度化 / 衛星通信・放送 / 情報システム / ビデオオンデマンド / ストリーミング |
研究概要 |
本年度に実施した研究の成果は以下であり、当初の目標の達成に留まらず超越するほど積極的に研究を推進した。 項目1:放送側のコンテンツ配信戦略 放送側のコンテンツ配信戦略として、本研究では分割放送技術を用いる。分割放送では、分割したデータの放送スケジュールを適切に作成して放送することで、再生中断時間を短縮できる。しかし放送スケジュールと通信側のコンテンツ配信状況との連携が難しく、これまでに再生中断時間を効率的に短縮できる放送スケジュールが研究されていなかった。そこで本項目では、放送通信融合環境において再生中断時間を短縮する放送スケジュールを明らかにしている。本研究ではこれまでに、再生端末が通信から受信できるブロックを予測し、通信から受信できるデータを間引いた放送スケジュールの作成手法を提案してきた。放送するデータを少なくしてデータの放送周期を短くすることで、再生端末がデータを受信する機会を増やせる。このため、再生端末が再生開始時刻までにデータを受信できる確率が高くなって再生中断時間を短縮できる。 項目2:通信側のコンテンツ配信戦略 通信側のコンテンツ配信戦略として、本研究では端末伝送技術を用いる。端末伝送では、既にコンテンツの再生を開始している他の再生端末からデータの一部を受信することで、再生中断時間を短縮できる。しかし放送側の分割放送を考慮していなかったため、これまでに再生中断時間を効率的に短縮する通信方式が研究されていなかった。そこで本項目では、放送通信融合環境において再生中断時間を短縮する端末伝送手法を明らかにしている。本研究ではこれまでに、再生位置に近いブロックを通信から受信する手法を提案してきた。再生位置に近いブロックは再生開始までの時間が短く、早く受信しなければ再生中断が発生する可能性が高い。単純な方式に比べて早くピースを受信でき、再生中断時間の短縮につながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は大きく2項目に分けて研究を推進しており、各項目とも当初の計画以上に進展している。項目1に関して、当初の計画は、分割放送技術を用い、通信側のコンテンツ配信状況を考慮した放送スケジュールを作成することであった。本研究では、コンテンツ配信状況だけでなく、再生端末の再生状況も考慮してデータを間引いた放送スケジュールを作成した点で、当初の計画以上に進展したといえる。項目2に関して、当初の計画は、端末伝送技術を用い、再生位置に近いブロックを配信することであった。本研究では、再生位置だけでなく、ブロックの配布状況も考慮して通信側で配信するブロックを選択した点で、当初の計画以上に進展したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
項目1に関して、本研究ではこれまでに、再生端末が通信から受信できるブロックを予測し、通信から受信できるデータを間引いた放送スケジュールの作成手法を提案してきた。しかし、あらかじめ作成した放送スケジュールに従ってブロックを放送していたため、通信帯域が変化して再生端末のデータ受信状況が変わると再生中断時間を効率的に短縮できていなかった。そこで今後は、再生端末のデータ受信状況を考慮して放送スケジュールを動的に作成する手法を提案する。項目2に関して、再生位置に近いブロックを通信から受信する手法を提案してきた。しかし、放送から受信することで再生中断が発生しない再生端末でも通信からブロックを受信していたため、通信帯域が無駄に消費されていた。そこで今後は、通信から受信しなければ再生中断が発生する再生端末のみ通信からブロックを受信する手法を提案する。
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