研究課題/領域番号 |
23680009
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 健嗣 筑波大学, システム情報系, 准教授 (30350474)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 表情計測技術 / ウェアラブルインタフェース / 人支援技術 / 表情筋活動 / ソーシャルロボット |
研究概要 |
本研究は,装着型表情推定技術の実現と高度化という目的に沿って(1)基礎研究(2)装置開発(3)実証実験(4)応用展開というサブテーマを明確に設定し同時に推進することで,提案手法の基盤技術をより深化させるとともに,実証実験を含めて大きく発展させるものである.平成24年度は,特に(1)実時間表情認識技術:顔表面からの電気生理信号に基づく実時間表情認識技術の確立に向けて、信号処理技術の改良による認識率の向上に成功した.(2)表情推定装置の改良: 生理計測に基づく電極配置設計と生体信号処理の最適化を行った.(3)表情計測実証実験: 対人コミュニケーションにおける表情認知支援への応用に着手し,実時間で表情表出を拡張するシステムの試作を行った.(4)装着型表情計測応用:カメラ映像と併用し,実験セッションにおいて笑顔が表出された部分のみを抜き出す新たなシステムを構築し,共同研究を通じて行動評価用のインタフェースとしての有効性を検証し,成果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を効果的に進めるため,前述のサブテーマの主眼を,(1)基礎研究(2)装置開発(3)実証実験(4)応用展開と明確に設定して同時に推進しており,附属病院,共同研究先(発達障害研究所・民間企業等),体育や芸術学の協力者など,複数の研究協力者とともに研究の進捗状況を確認しながら慎重に研究を進めており,概ね順調に伸展していると言える.特に、(4)については新たな知見を元にロボットへの応用研究が始まる等,計画以上に進展している.発達障害児を対象とした表情表出の定量化実験を行なっているが,本実験に関連し,当初予定のロボットの動作教示から療育応用への有効性が見出されたことにより,新たに追加実験を行った.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,工学・生理学・認知科学との連携による「表情の物理・生理・認知特性の理解の深化」という学術的な意義だけでなく,これまで質的評価が行われて来た心理・認知科学分野の実験手法において,「表情の定量化」を通じた新たな評価手法を提供出来ること,情報環境を利用した笑顔の共有による情動表現の拡張といった新たなコミュニケーション手法の提案,画像計測では困難な場面での表情計測,リハビリテーションへの応用といった出口を見据えた応用研究も行っていく.さらに,生体電位信号を利用した表情識別の基盤技術をより深化させるという基礎研究とともに,実証実験を含めて大きく発展させていきたい.
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