研究課題/領域番号 |
23680010
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
高崎 正也 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10333486)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 触覚フィードバック / 皮膚感覚ディスプレイ / 超音波 / 弾性表面波 / ラム波 / 振動速度計 / 知覚閾値 |
研究概要 |
ガラス基板全体で大きな振幅が得られるように複数振動子から伝搬してくる波の干渉を利用することを検討したが,駆動回路が複雑になること,波長を勘案すると大きな効果が得られそうに無いことにより,異なるアプローチを検討することとした.ガラス基板に配置する超音波発振子はIDTと呼ばれる周期構造を持った電極を備えているため,その構造を生かした簡便な駆動回路の検討を行った.発振子がもつ共振周波数の約20分の1の周波数のパルスを入力したときに,当該共振周波数の超音波が放射されることを見出し,それを実現するために電界効果トランジスタからなる駆動回路を設計製作した.ガラス基板に超音波を励振し,皮膚感覚が提示できることを確認した. 自然な「書き味」を提示するための制御系について検討を行った.伝達関数を用いたアプローチで実現できることを示した.本研究で提案しているペンタブレットインターフェースではペンに発生する振動に着目しており,豊かな感触を実現するためには高い周波数の振動の再現が有効であると考え,本研究におけるペンの周波数特性と人の知覚閾の周波数特性について調べた.本研究で提供しているインターフェースでは4kHz程度までの振動を出力することができた.また,簡便な心理物理実験の結果,人は1kHz以上の振動を受容しうることが分かった.今後,この知見をもとに自然な書き味を提示するための制御系を構築していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガラス基板を用いた超音波振動子の開発では,液晶ディスプレイを覆うことのできる大きさのものの開発を目指している.そのためには,ガラス基板の周辺部に超音波発振子を配置する構成が考えられる.複数の超音波発振子の駆動回路についても検討が必要である.本研究では,周期構造を有する超音波発振子の駆動に関して,その固有の共振周波数よりも低い周波数のパルス波を用いて発振できることを示した.パルス波の発生は簡単なトランジスタ回路で実現できるため,駆動回路が安価に構成できることを示している. 自然な書き味の提示を目指し,制御系構築の検討を行った.周波数領域に着目し,人の知覚できる周波数帯域に関する知見を得た.本研究で提案しているペンタブレットインターフェースの周波数特性がその帯域をカバーできることを示した. 超音波発振子表面の電極を形成するために真空蒸着装置を用いており,この装置は本研究遂行上必要不可欠である.本年度にこの装置が故障し,修理を要した.すぐに復旧することができたが,修理費を支出したため,一部研究計画を変更した.この変更は軽微であり,平成25年度にリカバーすることは十分に可能である.
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今後の研究の推進方策 |
ガラス基板を用いた超音波振動子での超音波励振にパルス波を用いる方法を適用し,簡便かつ安価な駆動回路でデモ装置を実現していく.このデモ装置の制御系に伝達関数によるアプローチで設計したものを実装し,高周波領域まで考慮できるようにフィルタ等の設計を行っていく.また,現実感のある触覚フィードバックを備えたペンタブレットインターフェースの有効性を示すためのデモンストレーションの方法(専用アプリケーションの開発等)についても検討を行っていく.
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