これまでに確認した0.3ミリ厚ガラス基板への超音波伝搬とパルスによる励振方法を組み合わせた際の高効率化について検討を行った.圧電材料基板表面に励振される弾性表面波とガラス基板に伝搬するラム波の波長が一致したときに効率が高くなることを考慮し,圧電材料基板表面の交差子電極サイズの設計を行った.レイリー・ラム方程式の近似解を数値解析により求め,励振されるべき弾性表面波の周波数を決定した.設計に基づき,励振子を製作し,実際にガラス基板に結合させた状態で電気的特性と機械的特性を計測し,算出した周波数において,ガラス基板の振動振幅が大きくなっていることを確認した.今後,パルスによる励振方式と組み合わせて,ガラス基板への超音波振動の効率評価を行っていく. 近年主流となっているグラフィカルユーザインターフェース(GUI)は,カーソル位置を識別できなければ操作を完了させることは困難なインターフェースになっている.従って,視覚に障害を持ったユーザにはそのままでの使用は困難である.本研究による提案では,画面に表示された情報を触覚を通して補完することができ,視覚障害者支援のツールとしても期待される.平成24年度に行った学会発表において,GUI操作の補助そのものについての検討の必要性を指摘されたため,ペンタブレットのみならず力覚ディスプレイによる補助についても検討を行った.デスクトップに複数のウインドウが重なり合って表示されている際に力覚提示を利用してここのウインドウを識別させることを提案し,サンプルプログラムを作成した.後天的視覚障害者を想定し,晴眼者にアイマスクを装着してもらい,識別実験を行った.力覚ディスプレイそのものになれていないため,時間を要したものの,多くのユーザがウインドウを識別することができた.得られた知見をもとに,総合的GUI操作補助について検討を行っていく.
|