本年度は,昨年度作成した高校生が作成した小論文を専門家が添削したコーパスを対象に,本研究で扱う推敲支援の問題の要となる問題である言説構成素(小論文を構成する論理的なまとまり)の並び換えの問題を扱った.この並び換えの問題を言説構成素間のランキングの問題として捉え,もとの出現位置がどこであったか,また,どのような論理的な関係で書こうとしていたのかという情報を学習に用いる素性として利用して,順序付け器を構築し,それを適用することで並び換えを実現するという手法を提案した.昨年度作成した人間が並び換えた結果にどのくらい近づけるのかという観点で評価を行った.並び換えた結果を順位相関係数で評価したところ,提案手法はベースラインを上回る結果を得た. また,並び換え後の局所的な修正の問題として,節の受動化の問題や,接続表現の挿入に関する問題があるが,受動化の問題に関しては述語の原形を対象に述語項構造がアノテーションされているNAISTテキストコーパスを学習データとして利用し,自動受動化の技術を開発した.
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