本研究の目的は、身体動作を入力とする次世代マンマシンインタラクションを実現させるために、「“Quickness of Service”と“Quality of Service”を両立する動作の早期認識手法」を確立することであり、本年度は以下の研究成果が得られた。 【モーションセンサを利用した動作認識の実展開】昨年度までに取り組んだ小型ワイヤレスモーションセンサによる動作特徴の獲得や認識手法を実環境に適用してその精度評価を行った。具体的には、農作業の自動計測と記録を題材として、長期間に渡り動作を計測し、複数の農作業を認識対象とした場合でも精度よく作業認識を行えることが確認できた。 【偽陽性の低いジェスチャ設計と認識手法の確立】一般に動作認識問題は、動作区間が適切に切り出されていることが想定されていることが多い。しかし実用的な観点からすれば、ユーザが自分の意図をジェスチャで伝えようとしている区間を適切に発見する必要がある。そこで、ジェスチャ区間をセンサを通してユーザが簡便に意思表示することを可能にするジェスチャ認識手法を開発した。具体的には、日常動作に現れにくいジェスチャを簡易な動作素の組み合わせとして表現して、それを動作デリミタとして利用する方法を開発した。 【ユーザ適応度向上のためのジェスチャの追加学習】ユーザ各々の行動様式にジェスチャ認識システムを適応させるためのジェスチャの追加学習手法を確立した。ジェスチャを動作素と呼ばれる短いジェスチャに分割し、動作素の並び順序をユーザの行動様式に応じて適応的に変化させる方法を開発した。これにより従来手法よりも高い精度でジェスチャ認識を行えることが確認できた。
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