研究課題/領域番号 |
23680019
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
石井 カルロス寿憲 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 知能ロボティクス研究所, 研究員 (30418529)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 知覚情報処理 / 音声情報処理 / パラ言語情報処理 / 韻律情報処理 / 言語情報処理 / 声質特徴 / 感情音声 / 自然対話音声 |
研究概要 |
自然対話には,同意の「ええ」,聞き返しの「え?」や驚きの「え!?」のように同じ音素列でも,言い方(発話スタイル)によって表現される意図が変わるものが多くみられる.しかし,発話スタイルの適切な音響的表現は確立されておらず,発話意図との関連も一途ではないため,従来の対話システムは,音素列に相当する発話内容のみを認識するに留まっており,自然対話が円滑に成立しない場合が生じる.本提案では,発話スタイルとして従来の韻律特徴に加え,提案者独自の声質特徴の動的特徴を導入し,形態素や品詞の言語情報も考慮することにより,音素列のみでは正しい意図が伝達出来ない発話の意図認識システムを実現することを目的としている. 平成24年度には、自然対話音声データベースを用いて、言語情報と発話スタイルと発話意図の関連を解析した.主に、質問系発話において、句末音調が上昇することが一般的とされる概念に対し、自然発話では文末音調が上昇しないものが数多く観測され、その理由を解明するため、質問の種類を「情報要求」、「真偽要求」、「確認」、「反復的質問」、「相槌的質問」などに分類し、句末音調と句末の形態素によって分析を行った。その研究成果を国内会議で報告し、会場のフィードバックを基に、国際会議Interspeechにも投稿した。また、パラ言語情報を多く伝達する感動詞において、自然発話データベースから得られたサンプルを分析して感動詞の音例集を構築し、日本語学習者の発音教育への活用を目指している。このテーマに関しても国際会議で発表し、高い評価を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の目標として「言語情報の解析」および「発話スタイルと発話意図との関連構造の解明」の項目が掲げられているが、データベースに形態素なの言語情報や、感動詞および質問発話に対して新たなパラ言語情報のラベルが付与され、これらの情報と句末の韻律との関連性を追及した分析が進められ、計画通りに順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究も計画書に沿って、進める予定である。平成25年度には、これまで得られた知見と情報を基に、「発話意図認識システムの構築」および「評価実験」の項目を進める。形態素別に発話意図と発話スタイルを関連づけた辞書を構築し、発話意図認識の精度を評価する。また、形態素と発話スタイルのみでは発話意図が識別できないものに対して、文脈の影響も追及する。また、これまでの結果をまとめて学会誌に論文を投稿する。
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