研究課題/領域番号 |
23680020
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 文英 筑波大学, システム情報系, 准教授 (50512787)
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キーワード | 物理エージェント / 教育支援ロボット / 人間-ロボット間インタラクション / ケア・レシーバー型ロボット |
研究概要 |
研究実施計画通り(あるいは計画以上)に進んでいる。実施計画に記載した茨城県つくば市の子ども向け英会話教室に実験フィールドを構築した上で、プロトタイプCRR(Care-Receiving Robot)として人型ロボットNAOをベースにCRRをラピッド実装した。同時に、導入予備実験で必要となる同ロボットの遠隔操作GUIプログラムを開発した。 引き続き、プロトタイプCRRを用いてCRRのfeasibility testを実施した。約3か月間におよぶ準備期間を経て、約15名の子どもたちを対象にCRRの導入実験に参加して頂いた。予備実験の結果、意図的に誤り行動を出力するようプログラムされたCRRは子どもたちのケア行動を数多く誘発することが観察され、さらに、子どもたちとの間で発生したインタラクションの多くがレッスン内の学習タスクに繋がりうることが判明した。また、ビデオを用いて子どもたちの行動を分析した結果、最も多く発生するケア行動は、ロボットへの接触を伴う直接教示に関わるものであることが判明した。これにより、最初の本実験は直接教示を含むタスクを採用することに決定した。 これ以降の内容は当初のH23研究実施計画には無かったものであるが、研究活動が予想以上に順調に進捗したため、最初の本実験も行うことができた。ここでは英語動詞学習を扱い、子どもたちからCRRへの直接教示が含まれるタスクを設計し、教育心理実験で用いられるPre/Post-testの枠組でCRR導入が子どもたちの学習効果を促進しうるかどうかについて調査した。実験は繰越期間のH24にかけても行い、すでに約20名の実験参加者をもとに本手法の有効性を示す結果が出始めている。最初の実験結果をHRI分野の世界トップジャーナルを目指し創刊されたJournal of Human-Robot Interactionに投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画で予定していたプロトタイプCRRの開発からfeasibility testまでを完了するのみならず、予定になかった最初の本実験までを開始することができた。すでに次年度以降の計画であった本実験をも実施しており、最初の実験結果分析とまとめを経て、当該分野のトップ国際雑誌であるJHRIに投稿することまで行えた。 以上の状況から、研究は当初の計画以上に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最初の本実験はH24にかけて継続しているが、すでに次なる課題や問題点も見え始めている。とくに、効果的なCRRを設計するためには、どのように誤り行動を出力すべきか、どのような速度でそれを改善し学習していくべきか、といった要素が非常に重用であり、こうしたポイントについて知見を得る実験を行っていく予定である。 より具体的には、優等生型CRR、学習能力を有するCRR、学習能力を有しないCRRというように、子どもと対等の立場という点では共通するもののタスク遂行能力や学習能力といった面で異なる個性を有するCRRを実装し、これらの比較実験を行う予定である。タスクについては、将来的なインパクトや出口を考えて引き続き英単語学習を軸に現場教師やマネージャーの意見を伺いながら研究を進めていく予定である。
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