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本研究では，脳の数理モデルを構築し，その理論的な解析手法を発展させることを目的としている．それによって，非侵襲的に取得した脳波・NIRS（Near Infra-Red Spectroscopy: 近赤外光トポグラフィ）信号計測から脳内動態を読み解く技術を開発する．今年度においては，神経細胞集団モデルに対して，シナプス結合やGap Junctionの特性を変化させた際にマクロなガンマ波が生成―消失する現象について，数理的な解析理論を構築した．その結果，抑制性シナプス結合の特性を変化させると細胞集団が持つガンマ波が消失するなどの非自明な現象が見られ，マクロな集団リズム形成に抑制性シナプス結合が重要な寄与をしている可能性が示された．
また，安定したガンマ波が観測される状態から，集団のリズム現象が外部からの摂動によって位相変調する現象について，随伴方程式を用いた解析理論を構築した．そして構築した理論が正しく細胞集団の状態変化を記述できていることを細胞集団モデルの数値計算によって示すことができた．
さらに，脳波信号から脳の内部状態の数理モデルにおけるパラメータを同定し，睡眠状態を判別する手法の開発を行った．その結果，本研究で開発する手法は睡眠ステージの変化を評価するのに有用であることが示された．
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