研究課題/領域番号 |
23680031
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
木賀 大介 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (30376587)
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キーワード | 人工遺伝子回路 / 合成生物学 / エピジェネティック・ランドスケープ / 数理モデル / 分化 |
研究概要 |
本研究では、細胞間シグナル分子の効果を概念的に示しているWaddingtonの地形を規定できるように遺伝子を組み合わせた人工ネットワークを、培養細胞中に導入する。その結果、培養細胞が自律的にシグナル分子を生産しながら、この地形に沿って状態変化する系が構築される。このシステムは、相互抑制を行う2つの遺伝子と拡散性のシグナル分子の生産・受容遺伝子を組み合わせることで構築される。相互抑制回路を構成する2つの転写抑制タンパク質としては、Streptomyces のPipとE. coliエリスロマイシン・リプレッサーそれぞれに、真核生物の転写サイレンサーであるKRABドメインを融合させたものを用いる。それぞれの抑制タンパク質が特異的に結合する配列は、SV40プロモーター直下に配置する。本研究では、KRABに依存した抑制と、拡散性のシグナルに依存した活性化とを統合した転写制御が鍵となるが、この統合に問題は無い。それは、KRABがDNAに結合する位置が転写開始点の1.8 kb上流でも下流でも、サイレンシングが起きることが報告されているためである。 本年度は、本研究に関わる数理モデルを精査し、論文を公表した。とくに、多様化が、タンパク質配列の差異だけでなく、同一の遺伝子ネットワークを保持していても、細胞数の差異によっても影響を受けることを確認した。よるまた、最終的には本研究で用いる人工遺伝子回路を染色体上に組み込んだ安定発現株を使用するが、本年度は一過的発現の実験を行った。その結果、2つのタンパクが相互に抑制関係にあることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数理モデルの改善や相互抑制の基礎実験など順調に進展しており、これらを確実な手法とすることで全システムの開発が可能になると考えられる。ただし、細胞間シグナルについての研究が成功していないため、システムの改良が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
実験結果と数理モデルとの差異を反映して次の実験を行うために必要な人工染色体技術の本格的な適用を行う。細胞間シグナルの選定をさらに進める。
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