研究課題/領域番号 |
23680031
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
木賀 大介 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (30376587)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 人工遺伝子回路 / 合成生物学 / エピジェネティック・ランドスケープ / 数理モデル / 分化 |
研究概要 |
本研究では、細胞間シグナル分子の効果を概念的に示しているWaddington地形を規定できるように遺伝子を組み合わせた人工ネットワークを、培養細胞中に導入する。その結果、培養細胞が自律的にシグナル分子を生産しながら、この地形に沿って状態変化する系が構築される。このシステムは、相互抑制を行う2つの遺伝子と拡散性のシグナル分子の生産・受容機構を組み合わせることで構築される。 本年度は、人工染色体に相互抑制を行う遺伝子の挿入を行い、その効果の検証を試みた。遺伝子発現の結果は、分泌性のマーカータンパク質によって行った。まず、個々の抑制タンパク質の効果の確認を試みた。そのために、片方の抑制タンパク質Aが恒常発現するように人工染色体に組み込んだ細胞を作成し、この抑制タンパク質Aによるもう片方の抑制タンパク質Bと同時に発現するレポーター遺伝子に対する効果を一過性のDNA導入により確認しようとした。しかし、遺伝子発現量のバランスの問題から、Aによる抑制効果を確認することはできなかった。そこで、バランスを確保するため、2つの抑制遺伝子を同時に人工染色体に導入した細胞を調整した。しかし、この細胞について、レポーター遺伝子の発現は確認できたものの、抑制タンパク質をそれぞれ無効化する薬剤の効果をどちらも確認することはできなかった。さらに、抑制タンパク質Bと同時に発現するレポーター遺伝子に対するこの抑制タンパク質Aによる効果を、この抑制タンパク質Aを無効化する薬剤添加によって確認しようと試みたが、これらすべてを人工染色体から発現させた場合にも、確認することができなかった。 これらの結果から、双安定性を発揮する別の人工遺伝子回路の使用に取り掛かり、予備的な検証を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工染色体の使用自体については、人工遺伝子回路実験に活用できることを確認した。また、双安定性を発揮する別の人工遺伝子回路についても、研究が順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
双安定性を発揮する別の人工遺伝子回路について、動作の検証をさらに行う。
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