研究課題
嗅球の糸球体において、嗅神経細胞軸索から入力された匂い情報は2次神経細胞である僧帽・房飾細胞へと受け渡される。僧帽・房飾細胞は唯一の主樹状突起を単一の糸球体へと伸ばして興奮性入力を受け取ると共に、複数の側方樹状突起を伸ばして顆粒細胞から抑制性入力を受ける。このような樹状突起の形態形成は生後数日の間に確立される。生後2日目までは僧帽細胞の複数の樹状突起が複数の糸球体に伸びているが、生後3-4日目に樹状突起の刈り込みが起こり、生後6日目までにほとんどの僧帽細胞が単一の主樹状突起を有するようになることが判明している。このような刈り込みプロセスは、嗅球において匂い情報の”混線”を防ぐ上で極めて重要だが、どのように制御されているのかは全く不明である。これまで、この刈り込みプロセスに匂い刺激は必要無いことが示唆されていたが、我々は匂いによらない神経活動の関与について検討するため、内向き整流性K+チャネルKir2.1を過剰発現させ、神経活動を抑えたときの発達プロセスについて調べた。この結果、神経活動阻害をすることで僧帽細胞主樹状突起の刈り込みが阻害されること、側方樹状突起の伸長が阻害されることが明らかになった。このような形態異常は、我々が新しく開発した組織透明化試薬SeeDBを用いることで定量的に示された。更に、神経活動がシナプス入力に依存する可能性について検討したところ、NMDA受容体およびGABAA受容体の関与が判明した。特に、GABAA受容体は興奮性作用が重要であることが判明した。更にテタヌストキシンを用いた神経伝達阻害実験により、嗅神経細胞からの入力が重要であることが判明した。以上の結果から、嗅神経細胞からの自発神経活動がグルタミン酸とGABAの両方の作用を制御して僧帽・房飾細胞に神経活動を生じ、その結果、選択的樹状突起刈り込みが制御されていることが明らかになった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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