研究課題
1.霊長類脳におけるSlit-Roboシグナルの検討:霊長類であるコモンマーモセットの正常・脳梗塞後のSlit-Roboの発現を解析するため、脳切片の作製・様々な細胞マーカーを用いた免疫染色法の検討を行った。2.Slit-Roboシグナル制御因子の探索:Slit-Roboシグナルを制御することが報告されている転写因子について、脳梗塞後の発現パターンを解析した。新生ニューロンのSlit1発現・活性化アストロサイトのRobo発現レベルの変化と一致するパターンを示す転写因子を数個ずつ同定した。3.Slit-Roboシグナルを用いたニューロン再生促進作用の解析:Slit1遺伝子をコードするレンチウィルスを脳室下帯から単離した新生ニューロンに導入し、脳梗塞後のマウス脳に移植した。3週間後に移植細胞の分布・分化を解析した。移植した細胞の一部の細胞は傷害部に移動し、神経突起を伸展させた成熟ニューロンの形態を示した。再生したニューロンの種類・数の定量的な評価を進めている。4.神経機能改善の定量的解析:脳梗塞モデルマウスにおける長期的な神経機能評価法の探索を行った。脳梗塞誘導前・誘導後3~21日に自発歩行テスト、Foot fault test, Elevated body swing testを施行した。体重減少などに対応してデータ取得法の調節を行ったところ、これらのテストで脳梗塞後長期の神経学的障害の評価が可能となった。5.多能性幹細胞を用いたニューロン再生法への応用性の検討:マウスES細胞由来の神経幹細胞にSlit1遺伝子をコードするレンチウィルスを導入し、脳梗塞モデルマウス脳に移植して、一週間後の分布を解析した。Slit1導入群では、長距離を移動している細胞の割合が増加していた。本研究で明らかにしたメカニズムが多能性幹細胞を用いたニューロン再生にも応用可能であることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)
Frontiers in Cellular Neuroscience
巻: 9 ページ: 5
10.3389/fncel.2015.00005
Stem Cell Reports
巻: 3 ページ: 73-84
10.1016/j.stemcr.2014.05.015