研究課題
(1)高密度CMOSアレイによる計測手法と染色手法を併用して,軸索に沿って伝播する活動電位を可視化した.軸索内の活動電位の伝播速度を実測したところ,0.2~1.5 m/sだった.伝播速度は,同じ軸索内でも場所ごとに大きく異なり,細胞体付近の太い部分では,軸索末端の細い部分よりも平均で3.7倍程度も速いことがわかった.さらに,長期間の計測を試みたところ,軸索の同じ部位でも,日によって活動電位の伝播速度が変化することがわかった.また,活動電位の伝播速度は,薬理刺激でも変化することも示した.これらの結果から,軸索は,電気回路における単なるケーブルではないことがわかる.活動電位の伝播速度のばらつきや変化は,軸索が能動的な素子として脳内の情報処理に大きな影響を及ぼしていることを強く示唆する.(2)高密度CMOSアレイが,単一細胞レベルの分解能で細胞外計測・刺激できることを利用し,電気刺激で誘発された活動から機能結合を推定する手法を確立した.提案手法による刺激誘発パターンと従来の自発発火パターンから,神経回路の機能結合を推定したところ,両者の相関関係は必ずしも高くはなかった.特に,前シナプスニューロンの発火後に後シナプスニューロンが発火する確率は,刺激誘発パターンでは自発発火パターンよりも,10倍以上小さかった.この結果から,従来手法による推定が機能結合を過大評価することがわかった.また,単一軸索に対する高頻度繰り返し(テタナス)刺激による神経回路の可塑性を調べたところ,刺激前に強かった機能結合は刺激後に減弱し,逆に,弱かった機能結合は刺激後に増強した.このように,単一の軸索へのテタナス刺激は,ネットワーク内の機能結合を平均化するがわかった.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
電気学会論文誌C電子情報システム部門誌
巻: 134 (3) ページ: 338-344
10.1541/ieejeiss.134.338
Sensors and Actuators: B. Chemical
巻: 192 ページ: 393-398
10.1016/j.snb.2013.10.139
Ohm Bulletin(ブレテン)
巻: 49 (冬号) ページ: 8-9
Nature Communications 4: Art
巻: No. 2181 ページ: 12
10.1038/ncomms3181
Frontiers in Computational Neuroscience
巻: 7 ページ: 193 (12 pp)
10.3389/fncom.2013.00193
Proceedings of 35th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society
巻: - ページ: 1045-1048
Advances in Artificial Life, ECAL 2013
巻: - ページ: 1075-1082
AROMA RESEARCH
巻: 14 ページ: 352-353
http://www.brain.rcast.u-tokyo.ac.jp/~takahashi/