研究概要 |
本研究では,体外からの広範囲・高精度3次元超音波画像取得・処理技術を用いた手術ナビゲーションと高機能手術ロボットハンド技術を確立し,術中臓器変形・移動の影響の大きい腹部内視鏡外科領域における高精度ナビゲーション手術を実現するシステムの基盤形成を図る研究を実施した. 今年度は特に,胎児外科領域および等張液充填式内視鏡下手術(Water-Filled Laparo-endoscopic Surgery, WAFLES)における,(1)3次元リアルタイム超音波「近接覚」ナビゲーション,(2)水腔内臓器操作用高機能「変形駆動式」手術ロボットの要素研究として以下の研究を行った。 (1)3次元リアルタイム超音波「近接覚」ナビゲーション 3次元超音波診断装置を用いた術中リアルタイムアップデートナビゲーションシステムの開発を行った.診断装置で取得したラインデータを直接USB2.0インタフェースを介しナビゲーションシステムに転送し,GPGPUを用いた並列演算により高速に座標変換,レンダリングを行い,術具位置に応じた3次元超音波誘導画像を提示するシステムを構築した.評価の結果6.5Vol/sの撮像条件で撮像からナビゲーション画像提示まで約64ms以内での誘導画像提示が可能であった. (2)水腔内臓器操作用高機能「変形駆動式」手術ロボット 一般的な気腹での腹腔鏡手術に比べ術野が狭い胎児外科およびWAFLESに応用する先端変形式の細径術具機構を用いた手術用鉗子の開発を行った.今年度はφ5mmの先端変形式把持鉗子(5mmポートから挿入可能で使用時はφ10mm鉗子サイズに変形)とφ8mmの先端屈曲機構付き先端変形式把持鉗子を開発し術具としての基本性能を確認した.また血管閉塞デバイスへの応用のための基礎研究を行い,電極幅と血管閉塞能力との相関を確認した.
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