研究課題/領域番号 |
23680056
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中村 亮一 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30366356)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | コンピュータ外科学 / 手術ナビゲーション / 可視化 / 手術ロボット / 胎児外科 / 超音波診断 / 並列計算 |
研究概要 |
本研究では,体外からの広範囲・高精度3 次元超音波画像取得・処理技術を用いた手術ナビゲーションと高機能手術ロボットハンド技術を確立し,術中臓器変形・移動の影響の大きい腹部内視鏡外科領域における高精度ナビゲーション手術を実現するシステムの基盤形成を図る研究を実施した. 今年度は特に,胎児外科領域および等張液充填式内視鏡下手術(Water-Filled Laparo-endoscopic Surgery, WAFLES)における,①3 次元リアルタイム超音波オーバーレイナビゲーション,②水腔内臓器操作用高機能「変形駆動式」手術ロボットの要素研究として以下の研究を行った. ①3次元リアルタイム超音波オーバーレイナビゲーション 引き続き3次元超音波診断装置を用いた術中リアルタイムアップデートナビゲーションシステムの開発を行った.今年度は内視鏡映像中に超音波診断画像から作成した誘導情報(誘導ターゲットの3Dモデル)を重畳(オーバーレイ)表示するシステムの開発を行った.評価の結果6.5Vol/sの撮像条件で撮像からナビゲーション画像提示まで約80ms以内での誘導画像提示が可能であった.しかし重畳表示の精度は十分でなく,誘導データ作成と重畳変換精度の向上の必要性が認められた. ②水腔内臓器操作用高機能「変形駆動式」手術ロボット 一般的な気腹での腹腔鏡手術に比べ術野が狭い胎児外科およびWAFLESに応用する先端変形式の細径術具機構を用いた手術用鉗子の開発を行った.今年度は新たな先端変形式監視機構として,細径(変形前)・大径(変形後)それぞれのモードでエンドエフェクタを有し,術具交換の必要無く2種類の術具を利用可能な2Way鉗子の開発を行った.実験の結果,従来の変形鉗子と比較し,把持性能に遜色なく大幅に短い時間での変形が可能となり,実臨床での実用性の高い機構とすることが出来た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リアルタイムナビゲーションシステム,先端変形式鉗子共に新たな試作機が完成し動物実験での評価の段階に到達している.現在残されている課題を一定レベルまで解消することで,変形ロボット鉗子とリアルタイムナビゲーションによる画像誘導下水中手術支援システムの要素技術を確立することが出来るものと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
リアルタイムナビゲーション,先端変形鉗子双方に残された技術課題を克服するための研究を進めると共に,これらを統合した画像誘導手術ロボットシステムの構築を図る. 具体的には,画像誘導下での視野・作業野確保に必要なWafles用リトラクタを開発し,ナビゲーション誘導下に変形鉗子とエネルギーデバイス(レーザ,電気メス等)をコントロールし,安全マージンを持った手術環境を提供する支援デバイスの開発を行う.
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