研究概要 |
本研究では,体外からの広範囲・高精度3 次元超音波画像取得・処理技術を用いた手術ナビゲーションと高機能手術ロボットハンド技術を確立し,術中臓器変形・移動の影響の大きい腹部内視鏡外科領域における高精度ナビゲーション手術を実現するシステムの基盤形成を図る研究を実施した.今年度は特に,胎児外科領域および等張液充填式内視鏡下手術(Water-Filled Laparo-endoscopic Surgery, WAFLES)における,①3 次元リアルタイム超音波オーバーレイナビゲーション技術の高度化,②水腔内臓器操作用高機能「変形駆動式」手術ロボットの要素研究として以下の研究を行った. ①3次元リアルタイム超音波オーバーレイナビゲーション 引き続き3次元超音波診断装置を用いた術中リアルタイムアップデートナビゲーションシステムの開発を行った.今年度は提示画像の高度化として,術中3D超音波と術前CTとの自動レジストレーション技術と,術中3D超音波画像からの肝血管系自動セグメンテーション技術の開発を行った.ファントムを用いた評価では,前者は誤差3mm程度での自動重畳が可能で有り,後者は初期Seed Pointは手動設定する半自動型ではあるが処理時間5ms程度のリアルタイム処理が可能であった. ②水腔内臓器操作用高機能「変形駆動式」手術ロボット 今年度は新たな先端変形式鉗子として,①弾性樹脂材料を利用してWaFLESでの超音波画像の画質への影響を最小化すると共に変形量から圧排力を推定可能な弾性リトラクタと,②内視鏡下手術ロボットへの搭載を可能にし,低侵襲性の向上と術具交換の手間の低減を可能にするロボタイズド2Way LITE鉗子を開発した.前者は市販のリトラクタに比して低アーチファクト・高SN比の術中超音波画像を取得可能であった.後者は素早い変形すなわち術具変換を可能にした.
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