研究課題
本年度については,昨年度に検討し決定した計測条件(データ採得手順,計測点の定義方法,計測時間,サンプリング周波数等)に基づき,表情表出時の顔上の計測点の動きデータを採得した.計測対象は,極端な不正咬合が認められない青壮年期の女性,および,老化により皮膚機能の低下,筋機能の低下が表情に影響を与えていると考えられる年齢である中年期の女性の2群とした.被験動作は,最大限に努力して口角を後方に移動させるMaximum Lip Corner Retraction (MLCR)表出時(5試行)とした.採得された表情表出時の動きデータを対象として,主に歯科矯正分野の顔に関する解剖学的な知識に基づき数理モデル化することにより,72.0%の群検出性能が得られた.そして,2群間の差を最大化するのは,口角周辺の動きであることが定量的に明らかとなった.口角周辺の動きに影響を与える要因として考えられる,皮膚,脂肪ならびに筋等の解剖学的な構成が加齢により変化することは既に報告されており(Pennaら,2009),本成果と合致すると考えられる.更に,本研究課題では,表情表出時の最終的な出力に大きな影響を与えると考えられる皮膚に関する情報として,同被験者の頬部の皮膚生理特性(粘弾性パラメータ)を計測し,動きデータと統合して数理モデリングを行った.その結果,群識別性能は84.8%に向上した.このことは,顔の表情表出時の動きデータと皮膚生理特性を統合することで,数理モデルの高精度化を実現することができたと考えられる.以上のことから,成年期の老化により生じる表情機能の低下を対象として,顔に関するマルチモダルな情報を統合することにより高精度な臨床応用可能な表情分析システムの開発に成功したと考えられる.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
In Proc: 2013 4th International Conference on Intelligent Systems, Modelling and Simulation (ISMS 2013)
巻: I ページ: 182-185