研究課題/領域番号 |
23680058
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
寺川 光洋 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (60580090)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | レーザー医療 / ドラッグデリバリー / フェムト秒レーザー / 誘電体粒子 |
研究概要 |
平成24年度は、選択的ナノサージェリーに着手するとともに、生体毒性が小さい技術の確立を目的とした研究を実施した。具体的には、細胞膜の超細密プロセシングを行うための微粒子径およびレーザーパラメータの最適化を試みた。また、生分解性ポリマー粒子への近赤外フェムト秒レーザー照射により発生させた光増強場を用いて、単一パルス照射で多数の細胞への一括外来分子導入を実証した。 細胞膜上に存在する抗原に多数の透明粒子を結合し、フェムト秒レーザー照射により粒子下に光増強場を発生させた。細胞膜の超細密プロセシングの研究として、細胞膜における相互作用寸法の評価を実施した。直径30 nmから100 nmの蛍光標識したシリカ微粒子を細胞内へ導入し、その効率を調べることで形成される小孔の大きさを評価した。導入効率はシリカ微粒子の直径が大きくなるにしたがって低下したが、生存率が95%以上となるレーザー照射条件においても直径100 nmの大きさのシリカ微粒子まで細胞内に導入できることを確認した。次に、ヒト上皮癌細胞の細胞膜上に抗EGFR抗体を介してPLA粒子を結合し、フェムト秒レーザパルスを上方から垂直入射したところ、26%の外来分子導入効率を得た。抗体による細胞へのPLA粒子の結合がないもの、レーザー未照射の細胞、粒子を使用せずレーザー照射のみ行った系では、細胞膜透過性の亢進を示す細胞数比率は1%程度であった。以上より、本方法により特定の抗原の標的化が可能であることを示唆する研究成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画を達成するとともに、発展として、より安全性の高い方法に向けた研究成果を得た。研究成果をJournal of Nanomedicineに公刊した。本研究の成果発表として、国際会議において招待講演を含む複数件の発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は最終年度であるので、未達成技術の完成および成果の取りまとめに注力する。具体的には、超細密プロセシングおよび増強近接場光の解析を中心として遂行する。成果を積極的に英語論文誌等に公刊する。
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