研究課題/領域番号 |
23680059
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
上林 清孝 筑波大学, システム情報系, 助教 (70415363)
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キーワード | 歩行 / ロボット / ロボットアシスト / 歩容 / 適応 / 神経科学 |
研究概要 |
近年、歩行機能障害者の歩行訓練や高齢者の歩行支援に向けて歩行ロボットが開発されているが、ロボットによる歩行支援がヒト側にどのような適応変化を生じさせるのか明らかとなっていない。ロボットアシストを用いた訓練プロトコル(訓練時間、訓練頻度など)や支援方法(トルクアシストのタイミングやその大きさ)を確立するうえでもこれらの適応を調べることは重要な課題と考えられる。本研究では、歩行支援前後にアシストなしで行う歩行パターンを三次元動作解析や筋活動パターンから比較し、アシスト後に生じた変化をafter-effectとしてとらえ、適応変化を明らかにすることを目的としている。本年度、股関節と膝関節にパワーユニットを装備した外骨格型のロボットスーツHALを用いて、ヒトの歩行時にロボットによるトルクアシストを両脚に与えて歩行支援した。ロボットによる歩行支援前後にトレッドミル上にて通常歩行を行い、デジタルビデオカメラによる撮影に加えて、表面筋電図によって大腿直筋、大腿二頭筋、ヒラメ筋、前脛骨筋の下肢筋群から筋活動を計測した。ロボットアシストを受けた歩行時には通常歩行とは異なった歩行パターンがみられ、ステップ長や歩行率に変化が生じた。また、アシスト歩行時には下肢筋活動パターンにも変化が観察された。アシスト歩行直後の通常歩行でもまた計測項目にafter-effectがみられたが、持続的な強い効果ではなかった。下肢筋群間でもアシストによる活動パターン変化に差異がみられるようであり、今後更なる実験が必要と思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、平成23年度に購入を予定していた動作解析システムが交付金減額によって購入できなかったため、次年度購入予定のテレメトリー式筋電システムを購入することとなった。そのため、機器の選定や実験プロトコルの修正などによって実験開始時期がやや遅れたことから、現在までの達成度をやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度予算にて動作解析ソフトウェアの購入を予定している。これによって解析にかかる時間が短縮でき、達成度の遅れを取り戻せるものと考えている。今年度初めは昨年度までの実験プロトコルにて被験者数をさらに増加する予定である。その後、交付申請書に沿って、アシスト量やアシスト時間などを変更した実験条件にて計測を行い、アシスト歩行による適応変化を検証する予定である。以上の結果をとりまとめ、学会発表や論文として成果報告を行う。
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