研究課題/領域番号 |
23680063
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
後藤 一成 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (60508258)
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キーワード | 成長ホルモン / 有酸素運動 / 生活習慣病 / 内臓脂肪 |
研究概要 |
本年度は、2~4週間の有酸素トレーニングが成長ホルモンの分泌能に及ぼす影響を検討した。成人男性21名を対象に、週6回・2週間の有酸素トレーニングを実施する2週間群と週3回・4週間の有酸素トレーニングを実施する4週間群を設けた(両群ともに合計12回のトレーニングを実施)。両群のトレーニングには、最大酸素摂取摂取量の65%に相当する強度で60分間の自転車ペダリング運動を用いた。なお、成長ホルモンの分泌増大に対するより大きな効果を得るために、すべてのトレーニングは常圧・低酸素環境下(酸素濃度15.0%)にて実施した。 トレーニング期間の前後に、最大酸素摂取量、体脂肪量(DEXAにより評価)、内臓脂肪面積(MRIにより評価)、一過性の有酸素運動(最大酸素摂取量の60%で20分間のペダリング運動)に対する成長ホルモンの分泌応答を検討した。 その結果、トレーニング期間後に最大酸素摂取量は両群ともに有意に増加した(P<0.05)。一方、全身の体脂肪量および体脂肪率に有意な変化はみられなかった。一過性の有酸素運動に対する成長ホルモンの分泌量(運動前における値からの増加量を算出)をトレーニング期間前後で比較すると、4週間群においては有意な増加が認められたが(P<0.05)、2週間群で有意な変化はみられなかった。 以上の結果から、中程度の強度で行う4週間の有酸素トレーニングは成長ホルモンの分泌能を増加させること、この変化は全身の体脂肪量や内臓脂肪面積の減少を伴わずに生じることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成長ホルモンの分泌能を評価する方法として、「アミノ酸(アルギニン)」の経口摂取を予定していたが、予備実験を実施したところ、成長ホルモンの分泌を惹起する刺激としては十分ではないことが明らかになった。その後、有酸素トレーニングの実施に伴う成長ホルモンの分泌能を評価するための研究を実施し、新たな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究の結果、中程度の強度で行う有酸素トレーニングにより、成長ホルモンの分泌能の増大することが明らかになった。そこで今後は、運動の種類や強度と関連づけて、成長ホルモンの分泌能を改善するための至適な運動の実施方法を検討していく予定である。また、生活習慣(食事、睡眠)の変容が成長ホルモンの分泌能に及ぼす影響を検討することも必要である。
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