研究課題
本研究は,日本人の食事摂取基準(DRI)に示される推定エネルギー必要量(EER)の強化・拡充を目的に掲げ,世界的にデータ不足の状態にある幼児の実態調査に加え,文献データベースを活用した基準値検討に資するエビデンスの収集と整理を活動の柱と位置づけている.当該年度の活動実績として,特に顕著であった成果の概要を以下に示す.幼児の総エネルギー消費量(TEE)ならびに身体活動レベル(PAL)の実態把握のため,複数地域で計32名を対象とする調査を実施した.対象が幼児となるため,安全性を重視した慎重な手順を踏みつつ正確な測定を実施した.フィールド調査において最も優れた方法で,エネルギー基準のエビデンス取得法として標準化されている二重標識水(DLW)法によってTEEを測定した.結果として得られたPALは1.58で,DRI2015年版の掲載値(3~5歳)の1.45と比較すると高値であった.一方,取得されたTEEは1265 kcal/日であり,DRIに示される推定エネルギー必要量(1300 kcal/日)とほぼ同値であった.これは,PALの分母となる基礎代謝量の値に両者で違いがあるために起こる現象であり,幼児年齢帯における基礎代謝量を媒介とするEERの導出手続に再考の余地があることを意味している.本研究では,実態調査と平行してシステマチックレビューも実施している.文献データベースなどにより抽出した,小児を対象にDLW法を用いてTEEを取得している文献398報を収集・精査し,これらが反映されたデータベース[抽出項目:対象特性(性別,年齢,身体組成など),エネルギーデータ(TEE,基礎代謝量など)]を作成し,文献エビデンスに基づくEERの検討を行った.TEEの平均は70~71 kcal/kg体重/日の範囲にあり,前述の実態調査で得られた71.5 kcal/kg体重/日と良く一致していた.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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