研究課題
中高齢期から動脈硬化性疾患リスク予防として,有酸素性運動トレーニングは効果的であるが,長期間にわたる療法が必要であり,運動プログラム実施中にドロップアウトする人が極めて多い。そのため,運動による効果が現れるよりも前に運動効果の状況を評価することができるような客観的判断材料,つまり,バイオマーカーがあれば運動継続のモチベーションの向上だけでなく,運動プログラムの見直しなどができると考えられる。そのため,本研究は,動脈硬化に対する運動効果を予測できる血液指標(血液バイオマーカー)を探索することを目的とする。健常な中高齢者男女34名(67.0 ± 1.3歳)を対象に,60-70%VO2peak運動強度の自転車運動(週3日,45分間)を8週間実施する運動群17名と安静対照群20名に分けた。運動群はトレーニング前から終了までの期間中2週間ごとに頸動脈-大腿動脈間の脈波伝播速度(cfPWV)の測定と採血を実施した。cfPWVはトレーニング開始後,徐々に低下する経時的な変動示したが,有意に改善したのはトレーニング8週間後のみであった。また,2次元電気泳動法を用いて経時的に血中タンパク発現を網羅的解析した結果,動脈硬化改善が認められる8週目よりも前の4,6週目に発現が変動しているタンパク質のなかで12か所のアミノ酸解析を行い,動脈血栓や血中脂質に影響するタンパク質などが複数同定された。さらに,血管拡張調節性因子であるapelinは4週目以降,6,8週後において有意に血中レベルが増大していた。血中apelin濃度の変化率と頸動脈βスティフネスの変化率との間には負の相関関係が認められた。以上の結果から,中高齢者の有酸素性トレーニングによる動脈硬化度改善の機序として,apelinの調節が関与する可能性が示唆された。今後,さらなる検討により,動脈硬化に対する運動効果よりも早期に変動する血中バイオマーカーを同定できる可能性が考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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