研究概要 |
特に今年度は、油脂が生地のレオロジー特性に与える影響に関する検討に加え、製パン性との相関を明らかにした。具体的には、下記に示すように、オイル添加による粘弾性的性質との関係を検討すると同時に製パン性への影響についても明らかにした。以下に具体的な研究実績概要を示す。 「米粉生地のレオロジーと製パン性の相関」 研究開始以降の研究により、米生地に油脂を添加することにより生地のレオロジー特性が影響されることが明らかになった。今年度はさらに生地のレオロジー特性を検討すると同時に、実際に製パン実験を行うことで、生地のレオロジーと製パン特性との相関を得た。結晶性の米粉(以後Bと示す)と非結晶性の米粉(以後Aと示す)を添加率の違いと油脂の添加の有無により生地にレオロジー特性が大きく影響する。この系に対して製パン実験を行った。具体的にはB100, B60A40, A100(数字が重量分率を示す)の系にオイルを3wt%, 10wt%添加して作製したパンの発泡率を得た。どのサンプルにおいてもオイルを3wt%添加することで、オイル無添加より発泡率が増加することが分かった。しかしながら、B100,B60A40ではオイルを10wt%添加すると、オイル3wt%添加に比べて発泡率が低下した。一方、A100ではオイルを10wt%添加したものが最も発泡率が高かった。さらに、気泡径に着目すると、オイルを添加することで気泡径は大きくなることが分かった。これらの結果から、オイルは米粉生地中の非晶性米粉へより選択的に作用することで製パン性に影響することが示唆された。
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